【MLB】忘れてはいけない“強み” マイナーキャンプ降格の中後悠平が再確認したこと

ダイヤモンドバックス・中後悠平【写真:田口有史】

OP戦苦戦で開幕メジャーはならず、原因は「勝負どころでの配球と制球の甘さ」

 ダイヤモンドバックスのメジャーキャンプに参加していた中後悠平投手が10日(日本時間11日)にマイナーキャンプ降格となった。米球界3年目、2年連続で招待選手としてキャンプに挑んだが、開幕メジャー入りはならず。シーズン中の昇格へ向けて、再スタートを切った。本人は降格直後、実戦で結果が出なかったことへの反省点を挙げつつ、自分の“強み”を生かしてアピールを続けていくことを改めて誓った。

 オープン戦では2試合に登板し、3回6安打4失点で防御率12.00。アリゾナ州立大学との練習試合でも1/3を投げて1四球4安打2失点と乱れるなど、結果を残せなかった。それだけに、マイナーキャンプ降格を覚悟していたという中後は「やっぱりボール半個分高いというのと、あとは配球。勝負どころでの配球と制球の甘さが打たれた原因かなというのもありますし、もう1つは率直に力不足」と振り返った。

 配球とはどういうことか。大事なところで自分の“武器”を生かせなかったことを本人は悔やんだ。

「キャッチャーのサインと自分の思ってるサイン(の違い)。あとはゴロを打たせるということを意識しすぎたかも分からないけど、僕の武器であるスライダーもそこまで多投していなかった。いつもだったらスライダーを投げて三振を取るところ、カウントを取るところでも、ツーシームとかチェンジアップでゴロを打たせようとか、そういうことばかり考えて。それが甘くなって痛打されるというのが(投球を)振り返って、ビデオで見て、カウントも見て、そういうところも原因の1つかなと。

 もちろん、アピールしていく上でそういうピッチングをしていかなあかんという中でやっていたので、そこに後悔はないですけど、僕のピッチングスタイルでのああいう配球というのは、合ってないということじゃないですけど…。そういうピッチングをする時と絶対に空振りを取るピッチングをしなければならない時が絶対にオープン戦の中でもあったと思うんですけど、そこでゴロを打たせるとか、とにかく球数少なく投げるっていうことばかり考えていて、ちょっとそういうところが出来てなかったかなという感じです」

「とにかく(失点)ゼロ。ゼロに越したことはない」

 マイク・ブッチャー投手コーチは開幕後に中後がメジャー昇格する可能性があることにも触れつつ、「彼には十分な武器があるが、カウントをうまくコントロールしないといけない。そこが課題だ」と話した。ただ、制球を重視するあまり、持ち前のダイナミックな投球が小さくまとまっては意味がない。ここでも“強み”は消してはいけないと、本人は考えている。

「コントロール重視で腕を振れずに終わってしまうのも嫌ですし、しっかり腕を振って空振りを取れてなんぼなので。ボールでも、その球を振らせるぐらいの球を放れば、スライダーでも真っ直ぐでもそういうピッチングがあるわけですから、全てストライクを放るわけではない。そういう自分の納得できる球を多くしたいですね。ストライクゾーンだけに投げるのではなくて。それはメジャーのスプリングトレーニングでも一緒でしたけど」

 ダイナミックさを生かしたいかという問いには「そうですね」と答え、「自分の持ち味は、やっぱり左の変則的なフォームで投げてるわけですから、その中でも球威のあるボール、キレのある変化球を投げられたら、なお良いので、そういうところも持続というか、やっていきたいですけどね」と続けた。

 マイナー契約ながら2年連続でメジャーキャンプに招待選手として参加し、開幕前に“降格”となった。ただ、本人は「去年もメジャーキャンプを経験して“カット”を経験しているわけですから、落ち込むとかはないですね」と前を向く。

「去年もそうですけど、シーズンを通してのトータル面での結果が求められるわけで。監督とかにも、この2年間しっかりマイナーで結果を残してくれたから安定感のあるピッチングをメジャーでもやってほしい、ということを言われて、その中でオープン戦で全然安定感のないピッチングをしたので。切り替えてやっていくしかないです」

 シーズン中にも必ずチャンスは来る。そのときに結果を残していることが重要となる。「自分の持っている球でやっていくしかない。とにかく(失点)ゼロ。ゼロに越したことはないので、そこをしっかりこだわっていきたい」。長所を生かし、結果を残す。悲願のメジャー昇格をつかむため、迷いはない。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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