広島菊池が目指す「最強の2番打者」 こだわるのは「1試合1試合の貢献度」

広島・菊池涼介【写真:荒川祐史】

3月には1年ぶり侍招集でタイムリーを演出

 今月上旬、オーストラリア代表との強化試合で2試合連続完封勝ちした侍ジャパン。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で攻守に活躍した広島の菊池涼介も、約1年ぶりに代表ユニフォームに袖を通した。

 3日の試合は「2番・二塁」で先発出場し、4打席ノーヒットに終わったが、6回には無死一塁から送りバントを決め、決勝点となる柳田、筒香のタイムリーにつなげた。

 自身初の大舞台の国際大会だった昨年のWBCは「すべてが新しく、大変だった」という。中京学院大学時代には、大学日本代表候補に選ばれながら、本戦のメンバーから漏れた経験があった。当時は現在ほど地方大学の躍進もなく、東京六大学や東都大学リーグなどいわゆるメジャーな大学に所属する選手が優先される傾向があり、地方大学の所属で代表選出から漏れた選手がプロ入りするケースも少なくなかった。

 当時の経緯もあり「見返してやったという気持ちもあった」という昨年のWBCだったが、143試合のレギュラーシーズンが行われる前の大会で、ポストシーズン終了まで昨季は「本当にめちゃくちゃ長い1年だった」と振り返る。

「シーズン序盤は気持ちの切り替えもなかなかできなかったし、時差ぼけなども重なって、眠れない日が普通だった。肉体的にも本当に苦しい時期があった」

 全力疾走ができず代走を送られることもあったが、それでも欠場したのは5試合のみで、リーグ連覇の中心として活躍した。

不本意だった昨季の打撃、今春は再構築に励む

 今季も「最強の2番打者」を目指すべく、キャンプでは昨季はやや不本意な成績で終わった打撃の再構築に取り組んだ。キャンプ序盤はフリー打撃でも軽打を繰り返し、右打ちを徹底。中盤あたりから一転して豪快に引っ張る打撃も見せ、サク越えするパワーも見せた。

「ずっと右打ちや進塁打ばかりでは、ピッチャーも怖くないと思うので、時には強振して大きいのも打てるところを見せておく必要がある。いつでも振れる準備はしておかなければいけない」

 打撃練習では、特注の細長いバットを使い、外野に置かれたティー打撃用のネットを狙って打つ、変則的なロングティーも行った。高さ2メートル、幅1メートル程度のネットに、ミートするだけでも大変そうなバットでホームベース付近から打った打球が、かなりの確率で的中していた。

「2番という縛りもあるちょっと難しい場所で、いかに貢献できるかを考えている。バントや進塁打、時には打つこともあるだろうし、その1試合1試合の貢献度を今年は意識してやりたい」

 リーグ3連覇を目指すチームで、個人成績に関しての数字はあまり気にしない、という菊池だが、14、16年に記録したハイアベレージを残せる実績に加え、ケース打撃にも対応する広角的な打法が進化すれば、タイトルも視野に入ってくるはずだ。

(Full-Count編集部)

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