乱射犯人はユーチューバーだった 「閲覧30万回で報酬10円」に不満

By 太田清

 米西部カリフォルニア州サンブルーノにある世界最大の動画投稿サイト「ユーチューブ」の本社で3日あった乱射事件では、容疑者が女ということが話題を呼んだ。乱射事件が頻発する米国でも実行犯は大半が男だからだ。少なくとも男女3人が負傷し、女は現場で死亡した。自殺とみられる。

 米国の主要メディアは容疑者は同州サンディエゴ在住のイラン系の女(39)と伝えた。ニュースの関心は女の動機に集まっているが警察は明らかにしておらず、ボーイフレンドを狙ったとの情報もあるものの、英紙デーリー・メール(電子版)などによると、女は自分で制作した映像を投稿し、閲覧数に応じて報酬を得る、いわゆる「ユーチューバー」だった。ユーチューブが新たなポリシーや利用規約をつくり、自分の映像作品を検閲したり、差別し始めたことで、映像制作を邪魔されたり閲覧数が減ったりしたと主張。また、多くのアクセスを得ているにもかかわらず報酬が少ないことについても、SNSなどで不満を訴えていた。 

 女のページとみられる画像には、女の映像の閲覧数が36万回以上あるにもかかわらず、報酬が10セント(約10円)しかないことを示した上で「閲覧30万回で報酬が10セント?????」と書き込んだものも含まれていた。

3日、「ユーチューブ」本社前で装甲車両から降りる武装した警察官ら=米カリフォルニア州サンブルーノ(AP=共同)

 女は「菜食主義者のボディービルダー」「動物愛護活動家」と自称。女が投稿したとみられるインスタグラムの映像には、両手を上げ力こぶをつくるようなボディービルディング特有の姿勢で踊っている女の映像がアップされている。 

 女の父親は事件前、女がユーチューブを憎んでおり、ユーチューブ本社に向かうかもしれないと警察に通報していたという。女のユーチューブのチャンネルやSNSのページは事件後に削除された。 

 警察によると、女は30~40発乱射。負傷者はオフィスが入る建物の入り口などで撃たれた。多くの従業員らがツイッターなどに「数人が撃たれ、床に大量の血が流れていた」と緊迫した状況を書き込んだ。ユーチューブ本社には約1700人が勤務している。トランプ大統領は事件の報告を受け、捜査当局者への感謝の言葉をツイッターで表明した。 (共同通信=太田清)

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