平成ベストナインを選ぶ チームの中軸打者がズラリと揃う三塁手

ソフトバンク・松田宣浩【写真:藤浦一都】

平成に入り1000試合以上三塁手を守ったのは10人

 来年4月で平成は終わり。31年に及ぶ平成時代に、幕が下りる。多くの選手が活躍した。平成時代のベストナインを考えていきたい。三塁手は他の内野手に比べて守備機会が少ない。それだけに打撃が売りの強打者が揃っている。

 平成時代に1000試合以上三塁を守った選手は10人いる。試合数は三塁守備に就いた数。打撃成績は他の守備位置での数字も含む。昭和の時代に記録した数字は含まれない。2017年オフまで。

〇江藤智(平成元年~21年、広島、巨人、西武)
1342試合(1559安打364本1020点82盗 打率.268)本塁打王2回、打点王1回、最高出塁率1回、ベストナイン7回、ゴールデングラブ1回

 高校時代は捕手。入団当初は一塁手だったが、三塁に固定されてから頭角を現す。豪快な打撃で広島を引っ張る。FAで巨人に移籍、6年在籍して西武に移籍し、引退。

〇初芝清(平成元年~17年 ロッテ)
1438試合(1525安打232本879点11盗 打率.265)打点王1回、ベストナイン1回

 1995年、イチロー、田中幸雄と打点王のタイトルを分け合う。眼鏡をかけた親しみやすい容貌でロッテファンの人気を得る。現在は社会人セガサミーの監督。

〇片岡篤史(平成4年~18年 日本ハム、阪神)
1238試合(1425安打164本717点35盗 打率.270)最高出塁率1回、ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回

 PL学園から同志社大。俊敏な守備とシャープな打撃で売り出す。選球眼が抜群で、最多四球を2回獲得。日本ハム時代は松坂大輔を得意とした。

〇中村紀洋(平成4年~26年 近鉄、オリックス、中日、楽天、横浜・DeNA)
1971試合(2101安打404本1348点22盗 打率.266)本塁打王1回、打点王2回、最高出塁率1回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ7回

 三塁手としての出場試合数は、長嶋茂雄の2172試合に次ぐ史上2位。イチローの同級生。近鉄からMLBに移籍、復帰後は5球団を渡り歩く。勝負強い打撃と豪快な守備が魅力だった。

〇岩村明憲(平成10年~26年 ヤクルト、楽天、ヤクルト)
1069試合(1172安打193本615点67盗 打率.290)ベストナイン2回、ゴールデングラブ6回

 小柄だが豪快な打撃とアグレッシブな守備で売り出す。平成19年MLBデビルレイズに移籍、ここでも活躍するが大けがで以後不振が続き、NPB復帰後も再起せず引退。現在はルートインBCリーグ福島の監督。

新井、村田、中村ら長距離砲がそろう

〇新井貴浩(平成11年~ 広島、阪神、広島)
1163試合(2178安打315本1279点43盗 打率.279)本塁打王1回、打点王1回、ベストナイン1回

 一塁手としても1031試合に出場し、MVP1回、ベストナイン1回、ゴールデングラブ1回。広島から阪神にFA移籍し、以後は中軸打者であるとともに精神的支柱に。

〇今江年晶(平成14年~ 。ロッテ、楽天)
1475試合(1545安打97本670点32盗 打率.283)ベストナイン1回、ゴールデングラブ4回

 PL学園からロッテに。初芝清の後の正三塁手に。勝負強い中距離打者。俊敏な守備も売り。FAで楽天に移籍してからは故障がち。昨年からは一塁を守ることが多くなる。

〇村田修一(平成15年~29年 横浜、巨人)
1802試合(1865安打360本1123点14盗 打率.269)本塁打王2回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ3回

 松坂世代。中村紀洋同様、強打と豪快な守備で鳴らした名三塁手。2000本安打まで135本と迫った昨年、巨人を自由契約。今季はルートインBCリーグ栃木からNPB復帰を目指す。

〇小谷野栄一(平成15年~ 日本ハム、オリックス)
1075試合(1212安打70本549点31盗 打率.267)打点王1回、ベストナイン1回、ゴールデングラブ3回

 松坂世代。当初は外野、一塁を守るが平成19年三塁にコンバートされる。好機に強く、2010年16本塁打で116打点を挙げ打点王。2012年には最多犠打。使い勝手の良い選手。

〇松田宣浩(平成18年~ ソフトバンク)
1314試合(1371安打212本733点120盗 打率.274)ゴールデングラブ6回

 1年目から三塁手として起用される。ファイトあふれる三塁守備と、勝負強い打撃で売り出す。今や「熱男」の愛称でチームの顔に。近年は長打力もつき3年連続20本塁打。

1000試合以下だが、この三塁手も特筆すべき実績を残している。

〇中村剛也(平成14年~ 西武)
949試合(1231安打357本969点23盗 打率.252)本塁打王6回、打点王3回、ベストナイン6回

 大阪桐蔭から西武へ。25歳の2008年に初めて規定打席に達し、いきなり本塁打王。規定打席に達した7年で6回本塁打王。平成屈指の長距離打者。

他の顔ぶれとベストナイン候補

 上記以外に700試合以上三塁を守った選手は6人いる。

小久保裕紀950試合(2041安打413本1304点58盗 打率.273)
A・バルディリス849試合(793安打93本387点6盗 打率.268)
松永浩美848試合(948安打77本368点95盗 打率.289)
森野将彦842試合(1581安打165本782点18盗 打率.277)
小笠原道大794試合(2120安打378本1169点63盗 打率.310)
鈴木健780試合(1446安打189本797点15盗 打率.278)

 これらの実績を勘案し、ベストナイン候補としては、以下の3人を挙げたい。

1位 中村紀洋
2位 村田修一
3位 江藤智

 三塁手はやはり守備よりも打撃を重視したい。そうなるとこの3人が上がってくる。平成を代表するスラッガーだ。この3人は三塁守備での評価も高かった。

 新井貴浩や小久保裕紀、小笠原道大のように一塁など他のポジションでの出場が多い選手はベストナインには挙げにくい。中村剛也はタイトル数では抜群だが安打数が少なく、守備での評価も低い点で上記3人に次ぐ評価とした。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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