【MLB】驚異の才能だけじゃない 大谷翔平の“野球愛”を米特集「彼は“野球狂”だ」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

対戦チームの情報ギッシリのiPadで日々研究

 デビュー以来、投打にわたる活躍でメジャーに旋風を巻き起こしているエンゼルス大谷翔平選手。投手としては無傷の2勝で防御率2.08、打者としては先発7戦連続ヒットで打率.367の成績で、開幕前には懐疑的な声が多かった二刀流を実現している。今や、その一挙手一投足を伝える“大谷狂想曲”は日本メディアにとどまらず、アメリカはもちろん世界中のメディアがこぞって特集を組むようになった。23歳日本人メジャーリーガーが持つ驚異の才能を伝える記事が多い中、米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」では大谷の「野球狂」ぶりにスポットを当てている。

 真面目で誠実な性格として知られる大谷は、日本ハム時代から野球一筋の生活スタイルを送ることで知られている。だが、それは日本での話。アメリカでは、その没頭ぶりが新鮮に映っているようだ。エンゼルスのナギー投手コーチが「彼はとにかく野球を吸収し続ける。これで十分ってことにはならないんだ」と話せば、ヒンスキー打撃コーチは「彼にとって野球は寝食はもちろん呼吸と同じレベル」と続けたほどだという。

 大谷を長らくスカウティングしてきたカブスのジェド・ホイヤーGMは「我々が入手した彼に関する情報全てが、彼はベースボールジャンキー(野球狂)だと言っていた」と明かしたというが、エンゼルスのビリー・エプラーGMも同じ意見。昨年12月に直接面談した際に大谷から様々な質問を受け、高いデータ分析能力が求められる「NFLのクォーターバックのようだった」と感じたそうだ。

 記事によれば、研究熱心な大谷は自身のiPadに対戦打者や投手に関する大量の情報を取り込み、自宅でも日々研究を重ねているという。それは球場でも同じ。打者として出場している大谷が、試合中にダグアウトでiPadを片手にヒンスキー打撃コーチと話をする姿はお馴染みだ。外野手として二刀流の道を歩むのではなく、DHとして打者に専念したことで試合中も投手研究に時間を割けるため、「学習プロセスにおける利益が生まれている」と指摘。何かヒントを得た時は、試合中でもクラブハウスに戻り、忘れないようにノートにまとめる大谷の姿も紹介している。

 少しでも野球を上手くなりたい。世界一の選手になりたい。そんな思いがあるからこそ。周囲からのアドバイスにも熱心に耳を傾ける。オープン戦では苦戦した打撃では、ヒンスキー打撃コーチからレッグキックをやめてノーステップ打法に変えてみてはどうかという助言に同意。開幕を迎えるとすぐに結果が出た。記事によれば、日本で成功を収めた打撃スタイルに固執せず、変化を恐れずに適応の道を選択した大谷について、打撃コーチは「『よしわかった。やってみるよ。こうやって適応していくことを自分が求められているなら、ただやるだけだよ。誰よりも早く上手に適応してみせるから』といった感じだった。彼の運動能力の高さを示すと同時に、意見に耳を傾けて問題なくこなしてしまう頭のよさも示している」と絶賛したという。

 類い稀なる才能を持つだけではなく、野球を心底愛する気持ちこそが、大谷を唯一無二の存在とし、誰からも愛される存在とするのかもしれない。

(Full-Count編集部)

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