正恩氏「土下座して懇願した」 トランプ大統領側近

By 太田清

 

米大統領候補当時のトランプ氏(右)とジュリアーニ元ニューヨーク市長=2016年9月、ワシントン(ロイター=共同)

 12日に予定される歴史的な米朝首脳会談を前に、トランプ米大統領の側近がまた物騒な発言をして物議を醸している。ロシア疑惑でトランプ氏の弁護士を務めるジュリアーニ元ニューヨーク市長(74)は6日、訪問先のイスラエルで、トランプ氏が一度中止を決めた首脳会談再設定のため、金正恩朝鮮労働党委員長が「手と膝をついて四つんばいとなり、(会談の再設定を)懇願してきた。これこそが(われわれが)彼にさせたかった立場なのだ」と語った。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)などが伝えた。 

 首脳会談を巡っては、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が、制裁などの圧力でリビアに大量破壊兵器を放棄させた成功例「リビア方式」を北朝鮮に要求する考えを強調し、北朝鮮側が強く反発。その後の北朝鮮政権幹部の挑発的言動を理由にトランプ氏は5月24日、首脳会談中止を発表したが、今回のジュリアーニ氏の発言に対する北朝鮮側の反応は今のところないという。 

 ジュリアーニ氏は、会談中止も辞さないというトランプ政権の強い姿勢が、北朝鮮側の譲歩を勝ち得た要因と指摘し、中東和平においてのパレスチナ側との交渉でも同様の姿勢が必要だと強調した。 

 ジュリアーニ氏はモラー特別検察官が進めるロシア疑惑の捜査に対応するため4月、トランプ氏の顧問弁護団に参加。ジュリアーニ氏は検察官出身。1994年から2001年末まで市長を務め、01年9月の米中枢同時テロでは現場で陣頭指揮を執った。16年の大統領選ではトランプ氏への支持を表明した。 

 一方、米国拠点の北朝鮮分析サイト「38ノース」は6日、最新の商業衛星写真に基づき、今年4月に北朝鮮が核・ミサイル実験中止を表明してから5月中旬までに、北朝鮮北西部にある弾道ミサイルの実験用発射台が撤去されたとの分析を発表。会談に向け、北朝鮮が核・ミサイル実験中止の公約遵守の姿勢を示しているとの見方も出ている。 (共同通信=太田清)

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