トランプ氏、メルケル首相にキャンディー投げつける

By 太田清

9日、カナダでのG7サミットでトランプ米大統領(右端)に向かい身を乗り出すドイツのメルケル首相(中央左)(ドイツ政府提供、AP=共同)

 安倍晋三首相に「私が(日本に)メキシコ人を2500万人送れば、君はすぐ退陣することになるぞ」と脅すなど、トランプ米大統領の狼藉ぶりが目立ったカナダでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)だが、また一つ、これまでのサミットでは考えもつかない同氏の乱暴な行為が明らかになった。 

 サミット最終日の9日にドイツのメルケル首相やフランスのマクロン大統領ら各国首脳に首脳宣言への署名を迫られたトランプ氏は、渋々受け入れたものの、立ち上がって上着のポケットからお気に入りのキャンディー「スターバースト」2個を取り出し、メルケル氏の机の前に投げ「さあ、アンゲラ(メルケル氏のファーストネーム)、私があなたに決して何もあげないなんて、もう言わないでくれ」と言い放った。米国の政治学者イアン・ブレマー氏が22日までに、CBSテレビとのインタビューで明らかにした。 

 ブレマー氏によると、トランプ大統領は各国首脳に無理やり署名に同意させられたことにいらだち、こうした行為に及んだ可能性がある。ブレマー氏は「キャンディー事件」について具体的な情報源を明らかにしなかったが、G7参加国の政府高官から情報を得たとみられる。 

 メルケル氏らとトランプ大統領の緊迫したやりとりを写した写真はドイツ政府が公表し、通商政策などを巡るサミットの不協和音を象徴するものとして大きな反響を呼んだが、トランプ氏はこの写真が撮られた直後に、キャンディーを投げつけた。 

 トランプ氏は一度は首脳宣言採択に同意したものの、帰途、議長国であるカナダのトルドー首相の発言に反発し、首脳宣言を承認しないよう側近に指示したとツイッターで表明した。 (共同通信=太田清)

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