小田急小田原線の開成駅(開成町吉田島)に来春から快速急行と急行が停車する。町の人口増を受け、小田急電鉄は「将来的な需要が見込める」と判断、10両編成に対応するホームの延伸工事にも既に取り掛かっている。念願が実現し、利便性向上による定住促進や活性化に期待を寄せる町は「地域の拠点駅として、町だけでなく足柄上地域全体の発展につなげたい」と歓迎している。
県内自治体の多くが人口減に頭を悩ます中、開成町は2010~15年の人口増加率が3・9%、世帯増加率は7・3%で、いずれも県内トップ。小田急電鉄交通企画部の土井文平課長(輸送計画担当)は「人口規模は小さいが、これだけ増えている。需要が見込めるので止めるという判断をした」と説明する。
来春のダイヤ改正日は未定だが、「例年通りなら3月末までに実施する」と土井課長。ホームの延伸工事に加えて、運行関係の設備や駅の表示の更新といった費用が必要だが、「投資として将来性がある」と見込んでいる。
現在、開成駅に止まる各駅停車は、平日の上りが77本、下り79本で、日中は20分に1本間隔。快速急行と急行を合わせて上下線とも82本が通過しており、土井課長は「速達性に影響するので快速急行の停車本数は検討中だが、急行は全て止める方向で検討している」という。
急行だけでも上り28本、下り42本あり、新宿方面に向かう場合は1駅隣の新松田駅で乗り換える必要がなくなり、下りは小田原駅まで1駅となるため、利便性が大きく向上する。
同社によると、小田原線海老名駅以降各駅の1日平均乗降人員数は「沿線企業の通勤需要で全体的に増加傾向にある」という。開成駅も人口増加などに伴い、17年度が1万1329人と12年度から千人以上伸びている。
18年度は新松田駅のトイレを全面改装するなど県西地域を重視しており、開成駅への快速急行・急行停車もその一環。「沿線自治体と連携し、できることから地域全体の価値向上に取り組む」としている。
一方、町は県と県内市町村などでつくる「県鉄道輸送力増強促進会議」などを通じて、要望を継続してきただけに歓迎している。
町議会6月定例会では、府川裕一町長が今後の駅周辺のインフラ整備について「町の将来に大きな意味を持つ。急行停車にふさわしい駅を考えていかなければならない」と答弁。駅前ロータリーの拡充や新規バス路線の誘致などの検討を進める考えを示した。