7月のロッテに見る課題と収穫 2年ぶりCS進出に向けて取り組むべきこと

復活が待望されるロッテ・内竜也【写真:荒川祐史】

勝てる試合を落とした後半戦

 7月のロッテは7勝10敗3分の成績で、勝てそうで勝てないゲームが多かった印象だ。

 野球に“たられば”は禁物だが、後半戦最初の3連戦で3連敗を喫した楽天戦では、最低でも2勝1敗で勝ち越すことができたのではないだろうか。初戦は8回まで2-1とリードし、3戦目も6回まで2-1の展開。続くオリックスとの3連戦に3連勝したことを考えると、いずれの試合も逃げ切っていれば、最初の6試合を5勝1敗、もしくは4勝2敗で勝ち越していた可能性はあった。それだけに楽天戦での3連敗は非常にもったいないものだった。

 その後も、10-10で引き分けた24日ソフトバンク戦も7回表終了時点で7-5とリードし、サヨナラ負けを食らった26日の試合も9回表終了時点で5-1とリードしていた。勝てるゲームをものにしていれば、7月は勝ちと負けの成績が反対になっていてもおかしくなかった。

 7月に苦しんだ原因は、月間防御率4.80の投手陣だろう。6月は4戦4勝、防御率0.99だった石川歩投手は、7月31日の日本ハム戦で2/3回を投げ11安打10失点で、1回を持たずにノックアウトを食らうなど、7月は5試合に先発して0勝2敗、防御率7.03と大ブレーキだった。

 リーグ最多の12勝を挙げるボルシンガー投手は、5月4日の日本ハム戦から続いていた連勝が11でストップした。勝ち頭であるボルシンガーが主に土曜日か日曜日、石川が火曜日に先発していたため、ロッテはここまで大きな連敗がなかった。連敗しても、ボルシンガーか石川のどちらかが連敗をストップ。だが、29日の西武戦ではボルシンガー、31日の日本ハム戦では石川が敗戦投手で3連敗を喫した。勝ち星が計算できる2人が連敗となると、チームとしてはかなり頭が痛い。

 救援陣も開幕からセーブを積み重ねてきた守護神・内竜也投手が7月16日の楽天戦から4試合連続で失点し、27日に1軍登録を抹消。セットアッパーの大谷智久投手も7月は12試合に登板して6ホールドを挙げたが、防御率9.00とピリッとしなかった。

涌井、二木が見せた復調傾向、期待の新星も登場

 精彩を欠いた印象のある投手陣だが、暗い話題ばかりではない。5月、6月の月間防御率が5点台だった涌井秀章投手は、7月は3試合に先発して1勝にとどまったが、3試合ともQS(クオリティースタート、6回以上自責3以下)をクリア。月間防御率は1.93と復調の兆しを見せている。

 4月30日の日本ハム戦に先発後、ファームで調整を続けていた二木康太投手は、7月18日の楽天戦で先発し、6回1/3を2失点に抑えると、続く26日のソフトバンク戦では7回2/3を1失点にまとめた。白星こそついていないが、ストレートの威力が戻り、1軍復帰後は安定した投球を披露している。

 さらに、フレッシュオールスターで自己最速の151キロを計測した4年目の岩下大輝投手が、1軍初昇格を果たした。24日のソフトバンク戦でプロ初登板。守備のミスが重なり1点を失ったが、力強いストレートで強力打線に立ち向かった。本拠地初登板となった29日の西武戦では、源田壮亮内野手の3球目に自己記録を更新する152キロ。疲れが見える救援陣の救世主として期待がもてそうだ。

 野手陣は、好機であと1本が出なかった。7月22日のオリックス戦は7-3で勝利し、同一カード3連勝を飾ったが、5回と6回に満塁の好機を作るも無得点。10-10で引き分けた24日のソフトバンク戦も、2点を追う5回2死満塁で得点を奪えず。さらに29日の西武戦では、1-6の4回に1死満塁の好機を作りながらも田村龍弘捕手の押し出し死球による1点しか奪えず、反撃ムードを作ることができなかった。

 ただ、不動のリードオフマン・荻野貴司外野手が「右手第二指基節骨骨折」で7月10日に登録抹消された後、代わって昇格した伊志嶺翔大外野手が2戦連続マルチ安打をマークするなど、バットで存在感を示した。

 井上晴哉内野手も、5月8日の楽天戦以来の4番に座った7月9日の西武戦で、いきなり第15号3ランを放つなど、7月は月間打率.400、7本塁打、23打点の大暴れ。一時は2割3分台まで落ちていた打率も、気が付けば3割が見えるまでに上昇した。

 7月は7勝10敗3分と負け越したロッテだが、ソフトバンクとともに3位争いを繰り広げており、2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出が見える位置にいる。なんとかCS争いに踏みとどまり、暑い8月を乗り越えたい。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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