グローカル人材を 国内外の学生ら「GETプログラム」 国際的視野で地域貢献

 政府が進める「地方創生」を背景に、グローバル(国際的)な視点を持ちつつローカル(地域)の発展に貢献する「グローカル」人材の育成に関心が高まっている。長崎大など県内11大学などが連携する大学コンソーシアム長崎は昨年度から、多文化への理解を深めながら地域の魅力を再認識する「グローカル人材育成プログラム(GP)」に着手。日本人学生と外国人留学生が一緒にさまざまなイベントなどを企画、運営する「GETプログラム」が目玉という。
 長崎大文教キャンパスの学生交流プラザで先月あったインターナショナルデー。県内の複数の大学から学生計25人が集まり、外国人留学生が母国の食や生活文化を紹介した。
 「私の古里には、ふ化直前のアヒルの卵をゆでた『バロット』と呼ばれる不思議な食べ物があります」。フィリピンから来た短期留学生キムバーリー・マリタオさん(19)=同大多文化社会学部=が話すと、どよめきが起きた。マリタオさんは「アヒルの卵はチキンスープの味。想像よりもおいしいですよ」と笑顔。日本人学生にとっては異文化に触れる機会となった。
 5月中旬には、GP版「ながさきさるく」を学生が企画し、約50人が参加。名所、旧跡巡りだけでなく、パフェがおいしい店など同世代に勧めたい観光スポットも訪ねた。GETプログラム企画運営協委員長の大平茜さん(20)=同大教育学部2年=は「中通り商店街のおしゃれな店が好評で、外国人留学生だけでなく地元出身の学生も地域の良さを改めて知るイベントになった」と手応えを話す。
 学生らの一大イベントは、年1回の「GETプレゼンテーション大会」だ。同大で先月開いた本選には、日本や韓国、中国の計6人の学生プレゼンターが登壇。約250人を前に、共通テーマの「逆境」について意見発表した。
 優勝した韓国のキム・ベク・ソプさん(26)=長崎国際大人間社会学部3年=は「仕事のストレスや経済的な逆境に耐え、家族を支える父親に感謝の気持ちを持ってほしい」とプロジェクターなどを使って訴えた。国は違っても変わらない家族愛の在り方に、会場からは共感の拍手が送られた。
 GETプログラム企画運営協のメンバー160人は裏方として、司会進行や会場設営など役割を分担。大人数のまとめ役を担った大平さんは「顔を合わせてコミュニケーションを取ることの大切さを実感した」と振り返った。
 長崎大地域教育総合支援センターの池田浩(こう)教授(63)は「年齢や性別、国籍で考え方が異なっても、協力してイベントを成功させた。その経験は、学生が将来、地域社会でリーダーとして活躍する際にきっと役立つ」と話す。

GETプレゼンテーション大会で家族愛の在り方を問い掛けたキム・ベク・ソプさん=長崎大
プロジェクターを使い、母国フィリピンについて説明するキムバーリー・マリタオさん(長崎大提供)

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