全日空 対馬―福岡間 全便プロペラに 10月下旬 座席数減「誘客に打撃」

 全日本空輸(ANA)は、10月28日から福岡空港-対馬空港間で1日4往復している定期便をすべてプロペラ機に切り替える。現在、2往復するジェット機の老朽化による退役のため。ANAが21日発表した秋からのダイヤ改正で明らかになった。同路線は1日5往復に増えるものの、座席数は800席から60席減る。対馬市の経済界からは「島民の生活や観光誘客の面で打撃。ジェット機の早期復帰を求めていきたい」との声が上がる。
 全日空などによると、退役するジェット機は「ボーイング737-500」(座席数126)。全便が切り替わるプロペラ機は「ボンバルディアDHC8-Q400」(同74)。
 全日空は「1日5往復となることで、東京や大阪などからの福岡空港での乗り継ぎがスムーズとなり、対馬に向かう観光客らの利便性が高まる」と強調する。
 福岡-対馬便の搭乗率は、最新の6月時点で54・1%。対馬観光物産協会の江口栄会長は「対馬からジェットの火が消えてしまうのは残念。1機当たりの座席数も減るので、対馬の中高生の修学旅行にも影響するのでは」と懸念を示す。対馬市商工会の齋藤利光会長は「交流人口が1日に60人減るのは大きい。ジェット機が再び飛ぶよう国などに要望していきたい」と話している。
 ジェット機の1便当たりの貨物容量は約23立方メートルだったがプロペラ機は約10立方メートルと大幅に減少する。全日空は新ダイヤに向けた対馬市との協議で「(プロペラ機は)満席の場合でも千キロ程度のキャパはある」と説明しており、市の担当者は「現在の福岡-対馬便の貨物は容積の3~4割程度。現時点では十分に賄えると判断している」としている。

対馬発着便から退役する予定の全日空ジェット機「ボーイング737-500」=対馬空港

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