サバ缶が王者ツナ缶抜いたわけ

By 関かおり

販売額が伸びているサバ缶と、2位に転落したツナ缶

 魚介缶詰市場で革命が起きている。

 マーケティング調査会社インテージ(東京都千代田区)は、魚介缶詰の市場規模がこの10年で最大となり、中でもサバの缶詰の販売額が伸びているとの調査結果を公表した。昨年12月にはこれまで魚介缶詰界不動の王者だったツナ缶の販売額を追い抜いた。

 2017年7月~2018年6月に同社が独自に収集したデータに基づく。調査結果によると、18年6月時点でのサバ缶の販売額は約20億円。約19億円のツナ缶が2位に続く。購入者層を分析すると、前年と比べてすべての世代で1年間の購入率が増加していたという。

 魚介缶詰市場はこれまで長期にわたって「マグロ油漬け缶」(ツナ缶)が牽引してきた。しかし昨年2月ごろからテレビ番組でサバ缶の健康効果や栄養価の高さなどが紹介され、サバ缶の販売額が急激にアップ。同年12月にはとうとうツナ缶から首位の座を奪い、その後一時逆転されたものの増加傾向にある。

魚介缶詰市場の販売額の推移(インテージ調べ)

 メーカー側はパッケージの改良などに取り組んでいるほか、定番の水煮や味噌煮だけではなく、「カレー煮」「トマト煮」など多様な味を提供。また消費者の間にもサラダや味噌汁に加えるなど新しい調理法が広まっている。

 同社の担当者は「価格が手ごろで栄養価も高く、健康ブームを追い風に全世代で購買が広まっている。人気は一過性のものではなく、販売額は今後も堅調に推移するとみられる」と話しており、ツナ缶との互角の戦いは続く見込みだ。 (共同通信=関かおり)

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