長崎-名古屋 夜行高速バス「グラバー号」廃止 平成と歩み 幕閉じる

 長崎-名古屋の夜行高速バス「グラバー号」が、30日の出発便を最後に廃止された。1989(平成元)年にデビューし、低価格で若者を中心に人気を集めたが、交通手段が多様化。平成が幕を閉じるのと合わせるかのように、その役目を終えた。
 「グラバー号」は、長崎自動車(長崎市)と名鉄バス(名古屋市)が共同運行。当初の走行距離960キロは日本一だった。帰省ラッシュには増便で対応し、1日5、6台で計200人以上を運んだことも。だが格安航空会社(LCC)の登場で優位性が薄れて利用は減り、燃油高騰も追い打ちを掛けた。
 長崎発最終便の予約は27人で満席。午後7時半、長崎市の長崎新地ターミナルでは社員や市民らが別れを惜しむように見送った。
 三重県いなべ市の野原孝幸さん(37)は仕事を休んで乗り込んだ。本県に住んでいた小学生の頃は家族で三重の親戚宅へ、三重のバス会社に就職してからは長崎の実家へ。これまで30回以上乗車した。父が長崎バスの運転手だったこともあり、グラバー号への愛着はひとしお。「寝て起きたら目的地なので楽だった。時代の流れとはいえ寂しい。30年間ありがとう、と言いたい」

最後の運行となった夜行高速バス「グラバー号」=長崎市、長崎新地ターミナル

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