【特集】新語・流行語大賞 「そだねー」 時代を映すキーワードと「賞味期限」 

2018年5月、富士急―LS北見 第6エンド、ショットを放つLS北見・藤沢選手(中央)。左は吉田夕選手、右は鈴木選手 2018ユーキャン新語・流行語大賞トップテン

 今年話題になった言葉に贈られる「2018ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。平昌冬季五輪のカーリング女子代表チームが使った「そだねー」が年間大賞に選ばれた。トップテンには、サッカーワールドカップ・ロシア大会で活躍した大迫勇也選手を評した「半端ないって」、山口県で行方不明の男児を発見した大分の尾畠春夫さんを呼んだ「スーパーボランティア」、セクハラ被害で当事者が声を上げた「#MeToo」や、コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」なども入った。(まとめ 共同通信=柴田友明)

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2017ユーキャン新語・流行語大賞と候補30選

 今夏の異常気象を象徴する「災害級の暑さ」のほか、ボクシング界の闇をあらわにした「奈良判定」、国会審議での論点のすり替えをやゆした「ご飯論法」も選ばれた。

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2016ユーキャン新語・流行語大賞と候補30語

 消費スピード

 言葉にはつくづく「賞味期限」があると思える。例えば「まじ卍」。昨年ぐらいまでは若い世代がネットなどで頻繁に使ったものだが、今はめったにお目にかからない。お笑いやドラマ番組ではやった言葉もやはり、その年限りのことが多い。最近は特にその消費スピードが速くなってきた感がある。過去の新語・流行語大賞だった言葉の中には今はとても使えないものもある。 一方で今年は、これら「生々流転」する言葉を採取していく紙媒体、辞書・辞典の出版が実は目立った年だった。

2015ユーキャン新語・流行語大賞と候補50語

 「ヤバい」辞書

 三省堂現代新国語辞典の第6版が10月16日、出版された。4年ぶりの改訂。「唯一の高校教科書密着型辞典がパワーアップ」という広告だが、SNSや民放の情報番組ではちょっと違う評価で盛り上がった。

 「バズる」「スクショ」「寝落ち」「ググる」「草」などネットでよく使われる言葉が追加され、大いに注目された。若い人たちに親しみがあって、普段使う言葉を載せようという試みだったが、SNSで話題になり、情報番組の出演者もその言葉がどういう意味で使われているかどうか、自身が知っているかどうかで、面白がった。

 ちなみに、「寝落ち」は寝込んでしまうという意味よりは、宴会で酔って寝込んでしまったために、置いていかれること。「草」はSNSなどで笑いや笑えることで、WARAIの頭文字を並べて、wwwと草が生えているように見えることからそのような意味になっているという。ネットでは「ヤバい」辞書と評判に。三省堂の担当者はこうした話題で盛り上がることについて想定していなかったとしている。

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2014ユーキャン新語・流行語大賞と候補50語

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2013ユーキャン新語・流行語大賞と過去の主な新語・流行語大賞

 15年前は「毒まんじゅう」

 ちょうど15年前の「2003新語・流行語大賞」の年間大賞には「毒まんじゅう」が選ばれた。政治家の野中広務氏(故人)が当時、発言した言葉でかなり注目された。 

 自民党総裁選を巡り、政治家の立ち居振る舞いに、この一言で警鐘を鳴らした野中氏は「(毒まんじゅうを)上手に食った人もいる。静かに食った人もいる。食い損なって大変な傷を負った人もいる。それを思うと自分が受賞するのは気恥ずかしい気がする」と表彰式であいさつ、会場を沸かした。今はあまり使われない言葉になったが、記憶に残るキーワードだ。野中氏は今年1月、92歳で亡くなった。

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