「ジャック、よく帰ってきたね」  商店街の人気猫

再び商店街で暮らすことにしたジャック=長崎市新大工町

 「ジャック、よく帰ってきたね」-。長崎市新大工町の商店街で、顔なじみの買い物客らが次々と声を掛けていく。ジャック(推定5、6歳)はこの町の地域猫。4月に一度、約1キロ離れた個人宅に引き取られたが、愛着のある町にまた戻ってきた。
 ジャックの世話を主にしていた果物店「島田フルーツ」が、同町の再開発事業に伴い3月末で閉店。同店の島田宏志さん(38)は、その後も店の片付けをしているとジャックが姿を現すことから、4月中旬、自宅に連れ帰った。商店街の人気者だったことから涙を流す人もいたという。
 3週間ほどたった夜、島田さん宅でジャックは部屋の網戸が急に外れたことに驚き、家を飛び出した。追い掛けた島田さんは足を負傷。心配だったが捜しにも行けず、商店街の人にも言い出せなかった。
 それから1週間、5月21日未明に、やせ細ったジャックが商店街に戻ってきた。以来、旧果物店向かいの西山青果店の西山美貴子さん(68)らが餌をあげ、見守っている。島田さんにも無事が伝えられた。西山さんは「びっくりした。よく頑張って帰ってきた」と話す。
 すっかり元の日常に戻り、のんびり散歩や日なたぼっこをするジャック。「久しぶり」「車に気を付けてね」。再会を喜ぶ買い物客に、「ニャー」と鳴いて応えた。

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