対馬の韓国人客 8割減 8月前年比 消費7億円減少 関係者会議 国内客誘致の充実要望

関係者会議で「国内旅行客の誘致を含め、できることから始めていきたい」と述べる比田勝市長(写真奥中央)=対馬市役所

 対馬市は4日、8月に対馬を訪れた韓国人観光客数が前年同期比8割減(約7600人)に落ち込んだことを明らかにした。7月は同4割減(約1万9800人)で、市は「(日本政府が対韓輸出の管理強化を行った)7月以降、団体を中心に韓国人観光客数が減っている」としている。
 市が同日、国県や市内の観光・商工関係者、金融機関などと初めて開いた「韓国人観光客激減に対する関係者会議」で発表した。
 関係者会議は一部非公開で、市観光商工課の担当者は今年6月までの上半期は対馬に約22万人の韓国人観光客が訪れ、前年同期比1割増だったと説明。しかし、7月以降の減少で「(観光客が主な対象の)宿泊、観光体験、飲食、交通業者などが直接的に打撃を受けている」と述べ、「小規模事業者がほとんどのため、事態が長期化すれば休業や廃業もありうる」と指摘。「対馬では7月で3億円、8月は7億円強の消費低下が起きている」と推測している。
 対馬観光物産協会(江口栄会長、会員412事業者)が会員を対象に実施したアンケート結果も公表され、回答した135事業者のうち、55事業者が韓国人観光客の減少について「かなりのマイナス」、23事業者が「多少のマイナス」とし合わせて6割となった。一方、従業員の雇用は「現状のまま」が103事業者を占め、「減らした」は11事業者にとどまった。
 市観光商工課によると、関係者会議では事業者側から人件費への助成や、国内客誘客の充実を求める声が出たという。
 比田勝尚喜市長は「今回のピンチをチャンスに変えるべく、国内旅行客の誘致を含め、できることから初めていきたい」と述べた。
 対馬-釜山間の航路は、非定期も含めて日韓の6社が参入しているが、7月以降に運休が増え、9月からは日韓の3社(うち韓国の2社は隔日交互運休)で運航している。

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