国民生活センターの移転、相模原市は反発

 政府機関の地方移転に関し、河野太郎消費者相(衆院15区)は8日、徳島県の飯泉嘉門知事と内閣府で面会し、同県が誘致している消費者庁や国民生活センター相模原事務所(相模原市中央区)などの移転に、あらためて前向きな意向を示した。移転の可否は3月に決まるが、河野氏のトップダウンで移転を前提にした議論が進む状況に、地元は「指をくわえて『はい、そうですか』というわけにはいかない」(加山俊夫相模原市長)と反発。市は近く、国の関係機関に出向き、検討状況をただす方針だ。

 河野氏は、相模原事務所が担う消費生活相談員らの研修や、商品の安全性確認テストを、4月から順次、徳島で試験的に実施する考えを飯泉知事に伝えた。3月には消費者庁長官らが徳島で試行的に業務に就くことが決まっており、河野氏は席上、「できるところから始めて、課題を抽出したい」と意欲を示した。「早速、受け入れの準備をさせてもらう」。飯泉知事は笑顔で応じた。

 河野氏は、情報通信技術(ICT)の進展を踏まえ、テレワークの推進など「霞が関全体の働き方を変える」と表明。地方移転に関しても、省庁側に「省庁間連携に支障を来す」など消極的な空気がある中、一貫して旗振り役となっている。昨年12月には相模原事務所を視察。「研修も商品テストも、東京近郊でなければできないわけではない」と述べた。

 一方で、加山市長は8日の会見で「寝耳に水だ。強く抗議する」と、情報が乏しい中で、外堀が埋まりつつある状況に不快感をあらわにした。地元選出の民主党・本村賢太郎衆院議員も、昨年8月に締め切った移転提案の段階で、徳島県が相模原事務所を誘致対象にしていなかったことから、「経緯が不透明」と指摘。ICTの活用に関しても「テレビモニター越しの研修や商品テストで、国民本位の消費者行政につながるのか」と疑問を呈した。

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