韓国プロ野球は「外国人に最も人気」 米メディア指摘「好待遇」にデメリットも

KBO・斗山を経てブルワーズと契約したジョシュ・リンドブロム(写真はアスレチックス時代)【写真:Getty Images】

近年はKBOで実績残してメジャーに戻る選手が増加

 韓国プロ野球(KBO)が今、MLB傘下の選手たちから注目されている。野球専門の米データサイト「ファングラフス」によると、KBOは最も人気のある移籍先の1つになっているという。同サイトはその理由などを伝えている。

 同サイトは「KBOの外国人選手たち:将来待ち受けていること」とのタイトルで詳報。KBOで助っ人選手に期待される役割について「各球団は最大3人の海外リーグの選手と契約できる。そのような外国人選手は一般的にクリーンアップやローテーションの1、2番手を期待されるため、チームの成功を左右する可能性があると多くの人が考えている」と説明している。

 そして、近年ジョシュ・リンドブロム、エリック・テームズ、メリル・ケリーがKBOでの活躍を経てメジャーでプレーしていることを指摘。「現在KBOは外国人選手にとって最も人気のある移籍先の1つとなっている」と伝えている。

 記事によれば、2011年に日本で発生した東日本大震災により、KBOが最も人気の移籍先となった。KBOはその後もユニークなメリットにより長く続く印象を残している。

 記事では、韓国でプレーした外国人選手に韓国の“プル要因”について調査。主に以下の5点が挙げられるという。

1 高年俸
2 インフラ、球団からのサポート
3 低い犯罪率、安全性
4 交通機関/ヘルスケア
5 短い移動距離

 オールスターレベルの選手にとって年俸100万ドル(約1億1000万円)は“はした金”だが、メジャーリーグ年俸の中央値140万ドル(約1億5400万円)に近い。翌シーズンに40人枠が確定していない選手にとって、KBO球団からの100万ドル+出来高のオファーは他の選択肢に勝る、としている。

 さらに、多くのKBO球団は外国人選手を厚遇し、住居費、食費、その他の生活必需品費も支払う。選手の家族も好待遇を受ける。子どもは学費が年間最大4万ドル(約440万円)かかるトップの学校に通うことができる。家族が試合観戦する場合は、スタッフが手厚く世話をするという。

 記事によれば、韓国が小さいことも大きなメリットだと考える選手も多いという。米国の長時間移動に比べれば、韓国の端から端までの移動距離は些細なものであると指摘している。

問題点も指摘「外国人投手は消耗品として扱われる」

 一方で記事は、KBOの問題点も伝えている。「KBOは決して完璧ではない。外国人選手、特に投手は消耗品として扱われる。投手は韓国に1、2年より長く滞在することが稀であるため、監督とコーチは選手たちに残された最後の力を搾り取ろうとする」と解説する。

 記事はその例を挙げている。フェルナンド・ヘルナンデスは2001年にSKワイバーンズと契約し、4人ローテで投げ、外国人として7イニング以上を期待され、その年に4144球投げ、これは1試合当たり120球超だったと言及。ヘルナンデスは翌シーズンに肩の手術を受け、その後リリースされた。手術から復活してまた韓国に戻ってくると発言したが、何度か手術を受けても以前のような状態には戻らず、34歳で引退したと説明している。

 外国人投手に対するそのような扱いは今ではファンやコーチに批判されるようになったが、小さな形でまだ残っている。外国人投手は韓国人投手よりも10~20%以上多く投げることが今でも求められている。昨季、韓国人の先発投手の1試合平均投球回は5.03であったのに対し、外国人は5.93であった。外国人投手への考え方が大きく変わらない限り、なんらかの形の酷使は近い将来続くであろうと“警告”している。

 また記事では、KBOはかつてメジャー経験のある引退前のベテランを好んでいたが、2013年頃からメジャー経験がほぼない20代半ばから後半の若手に注目するようになったことも指摘。ここ5年のうちの3年で、MVPに選出された選手は30歳前にKBOに移籍した外国人選手だったことも伝えている。(Full-Count編集部)

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