路上に謎の「青い破線」…実は自転車「ビワイチ」道案内、滋賀

ビワイチのルート上。ロゴマーク(手前)と青破線、矢羽根マークが連続して示されている場所もある(滋賀県近江八幡市島町・さざなみ街道)

 滋賀県内各地の道路に引かれている青い破線。「最近よく見かけるが、あれは一体何-?」。車社会の湖国で、読者から質問が寄せられた。確かに、国道や県道など比較的交通量の多い道を車で走ると、他府県では見ない青い線を目にする。正体やいかに?

 大津市由美浜の「大津湖岸なぎさ公園」。鮮やかな青破線が引かれた近くの車道沿いを散歩していたアルバイトの男性(70)=同市西の庄=に尋ねると、「よく見かけるが、何のためにあるかは知らない。他の県にはないんですか」。市内では昨年5月に園児ら16人が死傷した痛ましい交通事故があっただけに、公園で休憩中の男性(83)=同市中ノ庄=は「あの事故の直後くらいから見かけるようになったので、子どもの安全対策の一環ではないか」と話した。

■県、22年にも全整備

 青い破線の答えは、琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」サイクリングルートに関係があった。県が約20年前から推進し、昨春からは、湖岸の車道と歩道などに引き始めた。サイクリストにルートを知らせ、車の運転手への注意喚起が目的。幅90センチの自転車走行空間を確保し、車は青破線をまたいで走行してもよい。色はやはり湖をイメージ。現在、総延長193キロのうち約140キロで引かれており、2022年に一周をつなげることが目標という。
 昨年11月には、日本を代表する自転車観光ルートに国が認定する「ナショナルサイクルルート」に決まった。県は20年に年間利用者を16.5万人に増やす目標を掲げている。現在、ルート上の約5キロごとに、琵琶湖や「BIWAICHI」と描いたロゴマークを表示。15年度からは、車道に青破線を補助する大きな矢羽根型マークも引いているが、実際に自転車で走る人々からも要望が出ている。
 近江八幡市内のさざなみ街道を走っていた男性(35)=東近江市=は「(愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ)しまなみ海道サイクリングロードを走ったことがあるが、自転車のルートを示す道路のライン上に、行き先や目的地までの距離が書いてあり、分かりやすかった。ビワイチでもそんな工夫をしてほしい」と求めた。つくば霞ケ浦りんりんロード(茨城県、176キロ)では、路面上に行き先を示した表示などをしている。県は今後、訪日外国人に対応した看板表示やルール周知も進めるとする。
 県への利用者からの問い合わせは増えているというが、今のところ、青破線の周知不足は否めない。多くの運転手は、破線の左側を自転車専用レーンと勘違いして、ラインを越えてはいけないと思い込んでいるという。同課は「今後、県のホームページやチラシで住民への周知を進めたい」としている。

■一部無関係の線も

 ただ、県内には別の青破線もある。ビワイチルートではない近江大橋(大津市)上や、自転車の通行量が多い駅前などの幅3メートル以上の歩道には、県と県警が09年から、歩行者用道路の安全確保のために引いている。ビワイチルート上の青破線より間隔が短い「点線」のような線だが、混乱を招かないよう、県道路課は「適切にルート案内するため、来年度中には消していく予定」としている。

ビワイチルート外の近江大橋の歩道に引かれた青い破線。混同を回避するため、来年度中には消される予定だ
歩道に引かれた青い破線
「ビワイチ」ルート上の青破線の整備状況

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