証券マン転身の元虎助っ人をMLB公式が特集「彗星のように現れてからもう30年」

かつてヤンキースや阪神に在籍したケビン・マース氏【写真:Getty Images】

90年に79試合で21本塁打を放ち、新人王投票2位「全てがホームランになる感じ」

 MLB公式サイトはヤンキースで活躍し、阪神でもプレーしたケビン・マース氏を記憶に残る選手として特集。現在は大手証券会社で働く元虎助っ人がヤンキースでの新人時代を振り返り、チーム愛を語っている。

 MLB公式は「マースがルーキーシーズンにニューヨークに彗星のように現れてから、もう30年が経とうとしている」と紹介。1986年ドラフト22巡目でヤンキースに指名されたマースは、1990年6月にデビューすると79試合で打率.252、21本塁打、41打点をマークし、新人王投票でサンディー・アロマーJr.氏(当時インディアンス)に続く2位に入った。マース氏は鮮烈なデビューを「あのスイングをしたら、全てがホームランになるような感じだったよ」と振り返っている。

 当時、ヤンキースの一塁を守っていたのは85年にMVPに輝き、通算2153安打、222本塁打を記録したドン・マッティングリー。「3Aで1か月半の間に13本ホームラン打った。ヤンキースは当時あまり上手くいってなかった。たしか最下位だったかな。だから、僕にチャンスを与えたわけさ」とスターから定位置を奪い取った。

 名門の一員となったマース氏は、ミッキー・マントル氏、ホワイティー・フォード氏、フィル・リズート氏ら伝説の名選手たちに会う機会にも恵まれたという。中でもダグアウトに向かうトンネルでジョー・ディマジオ氏に会った時の思い出を「彼に自己紹介をしたけど凄いオーラがあった。サインを頼む勇気はなかったけど素晴らしい瞬間だった。その日はホームランを2本打ったから、本当に特別な日になったよ」と振り返っている。

出場機会を失い1993年にヤンキース退団、1996年には阪神でもプレーした

 1991年には前年を上回る23本塁打を放ったが、打率.220にとどまったマース氏。記事では「彼のマジックは失われてきた」と紹介。マッティングリーに定位置を奪い返されると徐々に出場機会を失った。1993年にはマイナー落ちも味わい、この年限りでヤンキースからリリース。1996年6月には阪神に加入したが63試合で打率.245、8本塁打の成績で1年で退団となった。

 その後はカリフォルニア大学バークレー校での学位を使って、故郷の北カリフォルニアで大手証券会社チャールズ・シュワブの財務コンサルタントに就職。記事によると、オフィスにはヤンキースのユニホーム姿の大きな写真が飾られており、部屋に入ったクライアントから注目されるという。そんな時には笑いながらニューヨークで有名だった頃のことを話すそうだ。

 今でも野球が好きで、友人のボブ・メルビン氏が監督を務めるアスレチックスの試合を観戦。特にヤンキースには思い入れがあり、毎年2月にはオールドタイマーズ・デー(OB戦)の招待状が来ていないかチェックする。「最後に行ったのは2017年だけど、もし招待してくれたらまた行くよ。ニューヨークとヤンキースはいつまでも僕にとっては大切な場所。一生それは変わらないだろうね」と記事内で語っている。

 阪神では1年間しかプレーしなかったが、ヤンキースでの新人時代に大活躍したマース氏。今も多くの米野球ファンの記憶に残っているようだ。(Full-Count編集部)

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