逆境でも響くイチロー氏の言葉に感動の声「心に響いた」「辛い時期も成長のステップ」

現在はマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏【写真:編集部】

イチロー氏がトヨタ自動車の新入社員たちに贈ったメッセージに多くの感動の声が集まった

 イチロー氏のトヨタ自動車の新入社員へ送ったメッセージ動画が大きな話題となっている。自社メディア「トヨタイムズ」に掲載された動画で、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は「成長とはまっすぐに目的地へ到達することではないんじゃないか。前進と後退を繰り返して、少しだけ前に進む。つまり、後退も成長に向けた大切なステップ」と問いかけ、厳しい教育が困難な時代に生きる新入社員へ「自分で自分を教育する。それが必要不可欠」とエールを送っている。4月1日に動画サイト「YouTube」に公開された動画の再生回数は、2週間で32万回に超える投稿となっている。

 当初はトヨタ自動車入社式のサプライズメッセージとして放映する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で式が中止に。「トヨタイムズ」で配信したところ、トヨタ自動車の多くの新入社員に響くメッセージとなった。

「イチローさんの物事への向き合い方、考え方に感動しました。仕事にも通じる大切なことだと思いました」

「失敗しながらもチャレンジを続け、成績を残し、実践したイチローさんの言葉だからこそ説得力がありました」

「『後退することも成長につながる』という言葉が印象的でした」

「長いキャリアを考えた時に、辛い時期や苦しいこともあると思うが、それも成長のための1つのステップと考えられるような気がします」

 新たな人生の門出は未知のウイルスで波乱のスタートとなったが、先の見えない今後へ光を照らす言葉となったようだ。

「正解がない時代…非常に重みがあると感じました」

 新入社員だけではない。指導する立場の先輩社員も「自分で自分を教育すること」「先輩や上司に学ぶこと」の重要性について、考えさせられるきっかけとなったという。

「先人、先輩からも学ぶことが必ずあるはずと言ってくれたことがとても良かったです」

「自分の頃と比べると上司が皆優しくて、厳しい指導をしてくれなくなった。優しいから良いということではなくて、自分で自分を厳しく指導していかないと成長できない環境になったということ。実際にイチローさんも、誰も教えてくれない、教えることができないという経験をされてきたのかと思いました」

「正解がない時代において、自分で学ぶということ、先人や先輩に教わるという2つのことをイチローさんがおっしゃったことは非常に重みがあると感じました」

 イチロー氏は15年の東京モーターショーの「プレスブリーフィング」に登壇。その後、トヨタ自動車のCM出演、「トヨタイムズ」での豊田章男社長との対談など積極的に企業メッセージを発信している。今回のメッセージについて、トヨタ自動車の関係者は「イチローさんの姿が映し出されると皆が驚き、感激した様子でした。トヨタが大切にしている価値観や企業精神を学ぶ研修の中では、1人1人の心にとても響いたのではないかと思います」と語った。

 未知のウイルスで、ますます先行きの見えない社会。イチロー氏の4分10秒のメッセージ動画には必ずヒントが隠れているはずだ。(Full-Count編集部)

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