【MLB】“ルーキー”イチローのスゴさを独自検証! 2000年以降の新人王受賞者と比べると…

現在はマリナーズの会長付き特別補佐兼インストラクターを務めているイチロー氏【写真:Getty Images】

イチローは2001年に史上2人目の新人王&MVPのダブル受賞、メジャーに旋風を巻き起こした

 今から19年前の2001年。マリナーズ・イチローは日本人野手として初めてメジャーの舞台に立ち、パワー全盛だった米球界に旋風を巻き起こした。史上2人目となる新人王&MVPをダブル受賞。その輝かしいメジャー1年目は今も米メディアから脚光を浴びるほどだが、2000年以降の歴代新人王に比べて、どれほどの価値がある活躍だったのか。独自の視点で検証した。

 27歳だったイチローは01年に新人シーズン最多242安打を放ち、打率.350、出塁率.381、56盗塁で首位打者、盗塁王を獲得。日本人野手はメジャーで通用するのかという懐疑的な見方を払拭し、シーズン116勝(メジャータイ記録)を挙げての地区優勝に大きく貢献した。MVP、新人王だけでなく、シルバースラッガー賞、ゴールドグラブ賞も受賞した。

 日米を熱狂させる大活躍だったが、2000年以降ではどれほどの凄かったのか。セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手のチーム貢献度を示す指標、WAR(Wins Above Replacement)ではイチローは「7.7」。2000年以降に両リーグの新人王を獲得した40選手のうちトップはエンゼルスのトラウト(10.5)、2位はヤンキース・ジャッジ(7.9)でイチローは3位に相当する。

 WARで6.0以上はMVP級、5.0以上はスーパースターと評価される。2000年以降の新人王40選手では5.0以上はイチローを含めて9選手だけ。他の8選手の特徴を挙げるとすれば、イチローを除いた全員がシーズン20本塁打以上を記録。それに対してイチローは8本塁打だった。いかにスモールベースボールを体現した打者だったかが伝わってくる。

シーズン56盗塁は2000年以降の新人王では最多、驚異の三振率.0723

 また、イチローで特筆すべき能力の1つは足の速さだろう。単に盗塁数を増やすことよりも盗塁成功率を重視する走塁スタイルだが、01年に56盗塁(盗塁死14)。2000年以降に新人王を獲得した選手の中では2位のヘンリー・ラミレス(マーリンズ)の51盗塁よりも5つ多く、2000年以降では“新人王最多盗塁”だ。

 他の数字で特出しているのは三振数の少なさ。イチローは01年に53三振(157試合738打席)。シーズン三振数では07年新人王ダスティン・ペドロイア(レッドソックス)の42三振も際立つが、01年イチローの三振率.0718はペドロイアの三振率.0723をも上回る。特にイチローはメジャー投手の球筋やストライクゾーンの違いなど多くの対応が求められる中で、この数字は驚異的と言える。

 データサイト「ベースボール・アルマナック」によると、新人で首位打者を獲得したのは01年イチローがMLB史上5人目だった。64年のトニー・オリバ(ツインズ)以来の快挙。新人王は1947年に制定されたため、「新人王+首位打者」はイチローとオリバの2選手のみだ。

 いかに新人イチローが素晴らしかったか。2000年以降の新人王受賞者との成績を比べると、さらにスゴさが伝わってくる。(Full-Count編集部)

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