防御率0.98の楽天則本昂に見える「変化」 カギは奪三振数の“波”とイニング数!?

楽天・則本昂大【写真:荒川祐史】

「青い稲妻」松本匡史氏がエースを分析、今年は「うまく使い分けている」

楽天の則本昂大投手が10日、ソフトバンク戦(PayPayドーム)に先発し、7回5安打1失点9奪三振4四球と好投した。打線の援護がなく、チームは延長10回サヨナラ負け。則本昂にも白星はつかなかったが、ここまで4試合に登板してリーグトップの防御率0.98と好調を維持している。現役時代に巨人で活躍し、「青い稲妻」のニックネームで人気を誇った元楽天ヘッドコーチの野球評論家・松本匡史氏は、今季のエースの好調の要因としてある“変化”を挙げた。

この日の則本昂は2回に松田宣に先制ソロを浴びたものの、その後は走者を出しながらも失点を許さない。味方打線が同点に追いついた直後の4回2死満塁のピンチでは、売り出し中の好調・栗原を148キロの直球で空振り三振に仕留めるなど、要所を締めた。

この日は9奪三振を奪った則本昂。ここまで24Kもリーグトップで、2014年から5年連続奪三振王に輝いた豪腕の力は健在だが、今季の登板を振り返ると、6月19日のオリックス戦は3K、同26日の日本ハム戦は10K、今月3日のロッテ戦は2Kと奪三振数に“波”がある。

松本氏は則本昂が好調な理由として「今年は自分の調子を見ながら、調子が悪いと思ったら打たせて取るピッチング、良ければ三振を取るピッチングと、うまく使い分けていますよね」と分析する。奪三振が“トレードマーク”とも言える右腕は、調子が悪くても相手をねじ伏せていくようなピッチングスタイルだったが、明らかに変化が見られるというのだ。

さらに「今年は完投をあまり意識していないのではないでしょうか」とも指摘する。

「気持ちの変化というか、そういうのもあるのではないか」

「今までは完投、完投という意識が強かった。リリーフ陣を助けたいということで『俺が投げないと』というのがありましたが、今年はあまりそういう雰囲気がありませんよね」

コンディション調整が難しい状況の中で開幕を迎えてから、7回、7回、6回2/3、そしてこの日も7回でマウンドを降りてきた右腕。ここ3試合は111球、118球、115球と球数も決して少なくないが、これまでの則本昂と比べると、意識の違いが見られると松本氏は語る。

「前回登板でも6回2/3で降板しましたが、今までの彼なら『降りない』という意思表示が強かったのではないかなと思います。それが、簡単に納得してマウンドを降りていました。その前の登板も7回で降板したので、気持ちの変化というか、そういうのもあるのではないかなと感じています」

この日はサヨナラ負けを喫した楽天だが、エースの“変化”が“進化”となって好成績を維持できれば、このまま首位を走り続けることになるかもしれない。(Full-Count編集部)

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