「ニールで負けたら大変だ」 西武・辻監督が語る負けない助っ人右腕の“魔力”とは

24日のロッテ戦に先発した西武のザック・ニール【写真:宮脇広久】

ロッテ戦で6回6安打2失点、内野ゴロの山を築き抜群の安定感を誇る

■西武 3-2 ロッテ(24日・メットライフ)

西武は24日、本拠地メットライフドームで行われたロッテ戦で、同点で迎えた9回に外崎が適時打を放ちサヨナラ勝ち。先発のザック・ニール投手は6回を6安打2失点に抑えたが、勝ち負けは付かず、外国人タイ記録の「14連勝」への挑戦は次回登板へ持ち越しとなった。それでも21戦連続負けなしの“不敗神話”は続いている。

18のアウトのうち、レアードの二ゴロ併殺打を含めて内野ゴロが半分の9を占め、三振が4、外野フライが3、盗塁死が1。ツーシーム、カットボール、チェンジアップを駆使し、球を小さく動かして打たせて取る、持ち味が存分に生かされた内容だった。ニール自身「調子自体良くて、思うところにボールをコントロールできていた」と満足げなコメントを残した。

ニールは来日1年目の昨年、2試合目の登板だった4月9日・楽天戦(県営大宮)で敗戦投手となったが、中6日で同16日にも楽天戦(楽天生命パーク)に先発し、5回3失点で勝敗は付かず。この試合以降、足掛け2年、21試合連続で負け投手になっていない。その間、13勝無敗。もう1つ勝って14連勝となれば、2016年のソフトバンクのバンデンハーク、同年の巨人のマイコラスと並び外国人タイ記録となる。

辻監督は試合後、「ニールが投げた以上は負けられない、という気持ちが強かった。ニールが投げれば負けないという“神話”だけは、ずっと持っていきたい」とナインの思いを代弁した。“不敗神話”が長く続いている事実が、味方に自信を与え、さらに「ニールで負けたら大変だ」という危機感もあおり、記録が継続する一因になっているといえるだろう。

負けなしニール登板時の1試合平均6.4得点、球界随一の山賊打線もアシストする

もちろん、ニールの投球自体も安定感抜群。負けなしの21試合中、失点は29(自責24)。1試合平均2.2失点(自責1.9)に過ぎない。この間、責任投球回数の5イニングをまっとうできなかったのは、3回2/3で5点を失い(自責2)マウンドを降りた昨年4月23日のロッテ戦1度きり。この試合は9-9の引き分けに終わっている。また、完投は来日以来まだ1度もなく、完璧に抑え込むことが少ない代わりに、大崩れもしない。

そして、ニールには球界随一の“山賊打線”がついている。コントロールが良く、投球のテンポがいいから、味方の攻撃にもリズムが生まれる。件の21試合で、味方の得点は134点(1試合平均6.4点)。前回登板の7月17日・楽天戦でも、味方打線が今季最多の17安打を放ち、10得点と爆発した。

今季のリリーフ陣の充実ぶりも、不敗神話続行を後押しする。この日はニール降板後の7回から平良、ギャレット、守護神・増田の3投手のリレーでロッテに得点を許さなかった。仮にKOされ先にリードを許す展開になったとしても、リリーフ陣が踏ん張り、山賊打線のパワーで同点に追いつきさえすれば、少なくともニールの黒星は消えることになる。

数々の“負けない条件”を兼ね備えているニール。チームは“貯金2”で、首位ソフトバンクへ1ゲーム差につけている。当然不敗神話が伸びるほど、リーグ3連覇に近づく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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