【高校野球】代替大会と甲子園交流試合 国士舘・永田監督が考える2つの舞台、それぞれの意義

国士舘・永田昌弘監督【写真:荒川祐史】

昨秋東京王者の国士舘は3回戦の国学院戦を5回コールドで大勝した

高校野球西東京大会は30日、市営市川球場で3回戦が行われ、昨秋優勝校の国士舘が国学院を11-1の5回コールドで破り4回戦進出を決めた。初回こそ相手先発富田隆志投手を攻めあぐねるも、2回に1点を先制すると3回には主将の3番鎌田州真内野手の3ランなどで一挙6得点。4回にも4点を加え国学院を突き放した。投げては先発の駒崎友哉投手、2番手の岩瀬風馬投手のリレーで1失点。投打ともにつけ入るすきを与えなかった。

8月には中止となった今春選抜に代わる聖地での甲子園交流試合も控えているが、甲子園につながらない今大会にはどんな意義があるのか。「次で3年生部員は全員ベンチ入りできるかな。3年生のための大会なので、今大会は3年生が主役。選手からは最後くらい笑顔でやってくださいよと言われるが、ミスが出るとどうもね」と永田昌弘監督。いろいろと勝手が違うという今大会は、30人の3年生部員全員を出場させようと例年以上に難しい采配を迫られているという。

「今日もこういう点差で、使おうと思ってた子を出せなかった。大差なんだから控えを出せばいいじゃないかと言われるかもしれませんが、それぞれの子にはそれぞれの良さがあるんです。チャンスに代打で出してあげたい子もいれば、肩がいいから守備で使ってやりたいやつもいる。でも、せっかく出場したのに打球が一度も飛んでこなかったらかわいそうじゃないですか。それぞれに、少なくとも1度は見せ場を作ってあげたい」

甲子園出場を目標とする国士舘の選手にとって、春の選抜、夏の選手権中止は想像以上にショックが大きかった。選手のなかには、切り替えて勉強に取り組みたいと打ち明ける者もいたという。

「それぞれ目指しているものがある。卒業後は野球をやらない子も多いですから。でも、勉強組はベンチに入れないとは言えない。どうしても練習が足りてなく、出しどころは難しいですが、それを何とかするのが私の役目ですから」

これまでにない選手起用に頭を悩ます一方で、甲子園交流試合では昨秋東京大会を勝ち抜いたベストメンバーで臨む。「3年生の区切りはこの代替大会。招待試合は秋の成績で選ばれた以上、ベストメンバーで戦う責任がある」と永田監督。与えられた2度の機会にそれぞれ異なる意義を持たせつつ、どちらも全力でタクトを振る。(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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