ラミレス采配の“真骨頂”? 抜擢した神里&嶺井の活躍に見る眼力

DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

スタメンに抜擢された神里は4打数4安打の大当たり

■DeNA 3-0 中日(4日・横浜)

DeNAは4日、横浜スタジアムで行われた中日戦に3対0で勝利した。敵地での巨人、阪神との6連戦に勝ち越し、勝率5割で地元に戻った試合でアレックス・ラミレス監督は、今季出場機会に恵まれていない2人の選手をスタメンに抜擢した。

コンディションの整わないオースティンがスタメンを外れ、この日はなかなか適役がいなかった2番に神里を起用。捕手には井納と今季初のコンビとなる嶺井が入った。今季2度目のスタメン出場となる沖縄出身の2人の起用が見事に当たった。

「ここまでチャンスをもらっても、しょうもない結果が続いていたので、なんとかしたいと思って試合に臨んだ」という神里は、初回の第1打席にチーム初安打を放つと、4回の第2打席では先頭打者として内野安打で出塁し、先制点となるホームを踏んだ。6回には無死1塁からレフト線へ二塁打を放ってチャンスを広げ、ソト、佐野の連続適時打で貴重な追加点が入った。8回には左腕の浜田達から今度はライトへ二塁打を放ち、4打数4安打の大活躍だった。

今季初のお立ち台に立ち「9連戦の頭を取れたので、チームも僕自身も上がっていきたい」と巻き返しを誓った神里。「しっかりチャンスをモノにしてくれた」と喜んだラミレス監督は、今季一番の活躍にも「特に驚くことはない」と信頼感を示した。

嶺井は打撃での活躍はなかったが、フル出場して7回無失点の井納から石田、三嶋とつないだ完封リレーの影の立役者となった。井納は「嶺井がいいリードをしてくれたので、なんとか抑えることができた」と今季初コンビとなった女房役に感謝していた。

キャンプ中の試合で中日根尾と対戦していた井納と嶺井のバッテリー

「今年はあまり組んでいなかったが、その分1イニング、1イニング会話をしながら、打者に向かって投げることができた」と、7回無失点の好投がバッテリーによる共同作業の結果だったことを強調した右腕だが、実は今季初めてのバッテリーではなかった。

キャンプ中のファームでの試合、中日戦で嶺井と組んだ井納は、この日1番で今季初スタメンとなった根尾と対戦していた。「初球の真っ直ぐをライト前に綺麗に打たれた」という根尾に対して、プレーボール直後の1球目は外に大きく外れるボール球から入り、その後は外角へ2球続けて空振り。最後はインコースへの真っ直ぐで見逃し三振に打ち取った。「試合前に嶺井と(ファームでの)その時の話をしていた」という右腕の思惑通りの投球だった。

ラミレス監督は「今季は試合の途中からマスクをかぶっていい働きをしていた。打撃でも結果を残していた」と、嶺井のスタメン起用の機会をうかがっていた。「過去に井納と組んでいい結果を残していたので、(嶺井に)先発でチャンスを与えたかった」という起用が見事に当たった。

選手の起用法や采配などに厳しい声も寄せられるラミレス采配だが、この日のようにスタメンに抜擢した選手が、いきなり結果を残す事も少なくない。データなのか、はたまた直感、閃きなのか。いずれにしても、今年で就任5年目を迎えたラミレス監督の“真骨頂”を見たような試合だった。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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