【高校野球】10球団スカウトが熱視線 二松学舎大付の2メートル右腕・秋広優人は「ロマン三重丸」

二松学舎大付・秋広優人【写真:佐藤佑輔】

高校通算23本塁打、投手歴1年で最速144キロを誇る身長2メートルの逸材

高校野球東東京大会は4日、大田スタジアムで準々決勝が行われ、二松学舎大付は5-6で大森学園に惜敗した。二松学舎大付の二刀流右腕・秋広優人投手は「4番・投手」で先発出場し、4回途中6安打2失点。打っては3打数1安打2打点2四球の活躍も、あと一歩及ばなかった。

秋広は3回、1死一塁から4連打を浴び先制点を含む2点を献上。なお1死満塁のピンチを三振と左飛で切り抜けるも、4回先頭に内野安打を許したところで無念の降板となった。

2点を追う6回2死二塁のチャンスでは、申告敬遠で勝負を避けられた。それでも7回2死満塁で迎えた第4打席では1点差に迫る2点適時中前打。一発が出ればサヨナラという9回2死一塁の第5打席ではストレートの四球で再び勝負を避けられ、高校最後の試合を終えた。

「自分たちの学年は秋も初戦敗退で、監督さんにはたくさん迷惑をかけてきた。その思いを返したかったが、それができずに残念です」と秋広。今後については「プロ志望届を出すつもりです。ここから本当に努力をして、プロで通用するような選手になりたい」と明言した。

身長2メートルの恵まれた体格で、高校通算23本塁打、最速144キロを誇る投打の逸材。その姿を一目見ようと、この日は10球団のスカウトが集結したが、スカウトの目には秋広のプレーはどのように映ったのか。

二刀流の可能性は? スカウトが語る“二足の草鞋”の問題点

日本ハムの坂本スカウトは「体がちょっと軽すぎちゃって、そのぶんリリースが遅れたり、膝が割れたり肩の開きが早かった。バッティングはちょっと焦って早いカウントから打ってしまっていた。こすった打球が多かったかな」と指摘。「今現在彼には何の実績もない」としつつも「夢、ロマン、将来性に関しては二重丸、三重丸。青田買いでの本指名も十分にある。だからこそこれだけのスカウトが来ているということ」とその可能性に大きな期待を寄せる。

では、この先も育成次第では二刀流の可能性があるのか。坂本スカウトは「うちの大谷が出てから、二刀流というのは、にわかにブーム。自分もできるのではと目指したくなる気持ちはわかりますが、二足の草鞋を履くというのは想像以上に大変。彼の場合はどちらも楽しみですが、できることなら投手でいってほしい」と語り、こう理由を付け加えた。

「彼はまだ投手を始めて1年ほど。直すべき点も山ほどある。でも、あれだけの体格があって、すでに140キロ中盤が出るというのはそれだけで才能。一つ一つ問題点を克服していけば、力まず8割の力で150キロ前半が投げられるようになる。大谷も160キロを出したり打撃でも活躍したりと目立ったパフォーマンスをしてきましたが、自分の体の限界を越えたプレーはやはり怪我につながるんです。1~2年大活躍するよりも、力まず長年ローテを守れるような選手になってほしい」

球界でただ一人の二刀流のモデルとなる大谷は日本ハムで頭角を示し、海を渡ってメジャーへと挑んだ。秋広は、その背中を追うのか否か。いずれにせよ、2メートル二刀流右腕の可能性は計り知れない。(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

© 株式会社Creative2