楽天の首位追撃キーマンは日本一知る31歳捕手? 専門家が称えたゲッツー全力疾走

楽天・岡島豪郎【写真:荒川祐史】

ヤクルトなど4球団で活躍した野口寿浩氏が1軍復帰の岡島豪郎を称賛「さすがだなと思った」

■楽天 15-0 ロッテ(27日・楽天生命パーク)

楽天の岡島豪郎捕手が、27日のロッテ戦で1軍に今季初昇格し、「7番・右翼」で先発出場。3安打2打点の活躍で、チームを15-0の大勝へと導いた。楽天は今季30勝目。岡島は昨年、左肩と右肘を手術。18年以来2年ぶりとなる1軍での出場となった。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、18年までヤクルトで2年間、バッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は、復帰した岡島について、今後のキーマンとなる可能性を秘めていることを明かした。

久々に本拠地、楽天生命パーク宮城のグラウンドに立った岡島が、復帰戦でさっそくハッスルした。2回無死一塁から右前打でチャンスを広げると、3回にはロメロの先制3ランの直後に右翼線への二塁打。続く足立の右中間への適時三塁打で4点目のホームを踏んだ。そして4回には2死満塁から中前2点適時打。リードを7点へと広げた。

復帰戦でいきなり猛打賞の活躍をみせた岡島について、野口氏はこう語る。

「構えが変わって、グリップの位置が高くなり、外国人打者のようになった。しっかりと振り抜けるバッティングができていて、さすがだなと思った。当てにいっていないところが彼の良さ。一番関心したのは、最後の打席で二塁への併殺打になった時に、セーフになろうと全力で走っていたこと。あれだけ点差がついていたら、普通ならあそこまで走らず、抜く選手が多い。大したものです。あれが岡島らしさですね」

野口氏が指摘したのは、9-0で迎えた8回無死一塁の場面で放った二塁への併殺打のこと。9月に31歳を迎えるプロ9年目の全力疾走は、ベンチにも大きな刺激となったはずだ。

「窮地を脱するキーマンになるのはベテランの力だったりする。その役割を岡島が担うことは十分ある」

今季、2軍では27試合に出場し、打率.349、2本、14打点と結果を残し、1軍昇格のチャンスを待っていた岡島。この日は6番・ロメロの後の7番を務めたが、岡島が打線に加わったメリットは大きいと野口氏は言う。

「彼のような選手が打線に1人加わると、チームとして安心感が出る。左打者で引っ張れるから、走者一塁の場面から一、三塁へとチャンスをつくれる。チャンスでも打てるし、打順もどこでも任せられる。勝ち上がっていくためには若手の勢いも必要だが、窮地を脱するキーマンになるのはベテランの力だったりする。その役割を彼が担うことは十分ある。今日のように、ロメロが打てなくても、その後ろに岡島がいるというのは相手にとって嫌ですよ」

岡島は出場機会を増やすため、昨年から登録を外野手から捕手に戻した。この日は外野手での出場となったが、今後は捕手として1軍で出場する機会も出てくるのだろうか。現役時代、捕手としてプレーし、一塁手や外野手としての出場経験もある野口氏は、捕手というポジションの難しさについて、こう指摘する。

「捕手はそんなに甘くないし、捕手1本でも難しい、大変なポジション。もし岡島が1軍で捕手として出場するのであれば、まずは1軍でマスクを被る記憶を蘇らせて、そこからアップグレードしていかないといけない。今年は(嶋が抜けた後の)捕手のポジションは太田、足立、堀内に競わせて、岡島は何かあった時の4番手捕手という役割でいいのではないか。三木監督は(ヘッドコーチだった)ヤクルト時代にも捕手だった藤井亮太を野手としても使っていたし、そういうプランも考えているのかもしれないが、岡島は2軍では一塁もやっていたようだし、どっちつかずにならないよう、野手に専念させるのがいいと思う」

プロ通算52試合でマスクを被ったこともある岡島。まずは打線の中での仕事ぶりに期待が寄せられるが、複数のポジションをこなせる選手だけに、緊急時に岡島をどう起用するのか、楽天のベンチワークにも注目が集まりそうだ。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2