オリックス吉田正に漂う“夢の4割打者” 専門家が「狙える」と語る根拠とは?

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

イチロー超えの24試合連続安打を放ち、打率.379に上昇

■オリックス 9-6 楽天(6日・楽天生命パーク)

オリックスは6日、敵地で楽天を9-6で下し、5試合ぶりの白星をつかんだ。「3番・左翼」で出場した吉田正尚外野手が3安打、5打点、2本塁打の活躍。連続試合安打は「24」となり、1994年に23試合連続安打を放ったイチロー氏を抜いた。12球団トップの打率も.379まで上昇。現役時代、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球評論家の松本匡史氏は「集中力が高く、正確性が増している。4割打者になれる可能性もこれから出てくる」と、ハイレベルな進化を遂げている球界屈指の左打者の4割超えに期待を寄せた。

吉田正はこの日、初回に二塁への内野安打を放つと、2打席目の3回には無死一塁から中越え10号2ラン。3打席目の6回は二ゴロに倒れたが、7-4で迎えた4打席目の8回にも、1死一、二塁のチャンスで右越え11号3ランを放ち、試合を決定づけた。そして、入団した2016年以来、5年連続となる2桁本塁打にも到達した。

今季ここまで91安打、打率.379、11本塁打、47打点。自己最高打率となった昨年の.322を大きく上回る高打率でヒットを打ち続けている吉田正は、なぜここまで安打を量産できるのか。今年、さらなる成長を遂げている訳を、松本氏はこう分析する。

「技術力はすでに言うことないが、今年はその中で、1球のボールに対しての集中力が特に素晴らしく、走者がいる時により確実性が増している。この日の本塁打もそうだが、甘い球をしっかりと捉えていることが、打率にも反映されている。アウトになった打席も、変化球がいいところに来たからヒットにならなかっただけで、スイングをずらされた訳ではなく、打ち方が悪い訳ではない」

「吉田正はトップとなるグリップの位置が全くブレない」

吉田正が相手の失投を確実に捉えられているのは、打撃フォームが安定していることが要因だという。

「普通の打者ならテークバックした時にトップの位置がずれる選手が多いが、吉田正はトップとなるグリップの位置が全くブレない。グリップが下がるとヘッドの位置が下がるので、ボールの下にバットが入り、空振りになることが多くなるが、吉田正のように軸がブレなければ、しっかりとボールを捉えられる」

チームはここまで22勝41敗5分と、5位西武にさえも大きく差を開けられ、最下位に甘んじているが、その中でも吉田正の存在は相手バッテリーにとって最大の脅威となっている。松本氏は「今、相手の投手たちは、吉田正の前にいかに走者を出さないようにするかを考えていると思う。走者がいなければヒットを打たれても構わないが、走者がいると失点につながる」と、ほぼ4割と高い得点圏打率を誇る吉田正の存在の大きさを強調する。

この日もヒットを放ち、イチローの連続安打記録を抜いた吉田正。打率もさらに上昇し、夢の4割打者誕生の期待も膨らんできた。松本氏は言う。

「4割打者になれる可能性もこれから出てくるのではないでしょうか。それくらい正確性が増している。プロに入ってきた時は、スイングスピードは凄かったが、正確性は今よりも低かった。それが、この5年間で今の形が出来上がった。そして、彼はまだまだ伸びていける。期待も含めて、4割という前人未到の数字にもチャレンジしてもらいたいですね」

日本のプロ野球の歴代最高打率は1986年に阪神のバースが記録した.389。パ・リーグでは2000年にオリックスのイチローがマークした.387が最高だが、これから後半戦でどれだけ打率を上げていくことができるのか。残り52試合での吉田正のバットに、注目が集まる。(Full-Count編集部)

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