なぜソフトバンクはロッテが苦手なのか? 深刻な課題は“選ばれる”“選べない”

6四死球を与えたソフトバンク・石川柊太【写真:藤浦一都】

この3連戦でソフトバンクは計21個の四死球を与えて3連敗を喫した

ソフトバンクが痛恨の3連敗を喫した。6日、本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦。2連敗で迎えたソフトバンクは先発の石川が5回に一気に4点を奪われると、打線は6安打で2点止まり。昨季から苦手としているロッテ相手に3タテを食らい、その差を0.5ゲーム差まで詰められた。

この3連戦、そして昨季と今季のソフトバンクとロッテの勝負を分けたのは、どこにあるのだろうか。

理由は様々あるだろうが、ここでは1つの数字に注目してみる。「6、5、10」と「1、1、3」だ。この数字が何かお分かりになるだろうか。前者はこの3連戦でソフトバンク投手陣が与えた四死球の数、そして後者はロッテ投手陣が与えた四死球の数である。ソフトバンクは3試合で21四死球、これに対してロッテは5四死球しか与えていない。

ヒット数はこの3連戦でソフトバンクが6、8、6。一方のロッテは10、13、3だった。6日で言えば、ソフトバンクはロッテを上回る安打を放っていたが、結果は3連敗。“出塁”という観点から見れば、単打と四球はイコール。この3連戦でロッテの16出塁、18出塁、13出塁に対して、ソフトバンクは7出塁、9出塁、9出塁と明確に少なく、1戦目と2戦目の出塁は半分以下だ。

両者の今季の対戦成績全体で見ても、如実にその差は現れる。ソフトバンクは今季の対ロッテ戦12試合で92安打33四死球。一方のロッテは108安打82四死球になる。ヒット数も差は少なからずあるが、四死球の数は倍以上だ。この差は大きくないはずがない。

ロッテへの四死球数は突出して多く、12試合で82個にもなる

ソフトバンクの与四死球の数を各球団別に見ると、西武48(11試合)、楽天61(12試合)、日本ハム51(15試合)、オリックスが70(18試合)となる。12試合で82個のロッテはその中でも突出して多くなる。

ソフトバンクの今季の四球数228個、与四球数277個はともにリーグ5位。これより数字が下回るのは最下位のオリックスしかいない。かたや、ロッテの四球数305はリーグトップ、与四球数236個はリーグ3位と、双方に明らかな差がある。

前日5日時点でソフトバンクのチーム打率は.240。ロッテは.245とその差は5厘しかない。だが、出塁率に目を移せば、ソフトバンクの.313に対してロッテは.347になり、その差は3分4厘も開く。実は昨季も、ソフトバンクは四球数、与四球数でともにリーグワースト。チーム打率.251はリーグ2位タイだが、チーム出塁率.312は最下位オリックスを少し上回るだけの5位だった。

与四球の多さはそれだけ走者を背負うことになり、球数も嵩む。攻撃のリズムにも悪影響を与える。逆に四球を選ぶことができれば、相手にそういう影響を与えることができる。工藤監督は常々、チームの与四球の多さについて「投手は出そうと思って出しているわけじゃない」と言うが、それでも、やはりこの多さは問題だろう。そして、柳田悠岐というリーグ屈指の四球数を誇る打者がいるにもかかわらず、チーム全体の四球数の少なさも改善すべき点だ。

この状況の中で毎年、優勝争いを演じ、今季も首位に立っているソフトバンクはやはり強い。ただ、この四球を“選ばれる”“選べない”は、昨季からの課題だった。この攻守両面での“四球問題”を解消できれば、ロッテへの苦手意識も和らぎ、そして、リーグ優勝にも近づくのではないだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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