中日福谷は「大野雄に続く2本目の柱に」 専門家が評価した力投のポイントは?

中日・福谷浩司【写真:荒川祐史】

松本匡史氏が解説するリリーフから先発福谷の特徴

■中日 2-2 巨人(10日・ナゴヤドーム)

中日が本拠地で巨人と2-2で引き分けた。先発の福谷浩司投手が101球を投げ、8回2失点の粘投。8回に逆転を許し、今季4勝目こそ逃したが、無四球で6安打7三振と、先発の役割を果たした。現役時代、巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球解説者の松本匡史氏は、リリーフから先発になって“イメチェン”に成功したことを評価。「大野に続く2人目の先発の柱として出てこなれればいけない投手」と期待を寄せた。

落ち着いたマウンドさばきだった。3回までは走者を許さない完ぺきなピッチング。4回以降も安打は許しながらも、7回までゼロ行進。巨人サンチェスとの投手戦を演じた。8回には無死一、二塁から吉川尚に逆転適時三塁打を許し、勝ち投手の権利は逃したが、後続を抑え、大量失点を与えなかった。プロ初の完投こそ逃したが、松本氏は「テンポが良く、コントロールがあって、立ち上がりもいい形で入れた。厳しいコースに投げ、落ち着いた投球をしていた」と好投をねぎらった。

走者を出しても2度、併殺で切り抜けた。しっかりと捉えられたのは、5回に三塁線に打たれた岡本だけ。8回も吉川尚に打たれた後、重信、大城を厳しいボールできっちりと抑えていた。「あそこで追加点を取られなかったのが大きい」と粘りの投球も目に留まった。

先発転向後、実質1年目のシーズン

12年にドラフト1位で中日に入団。14年にはリーグ最多の72試合に登板し、11セーブ、32ホールドを挙げるなど、長らくリリーフとしてブルペンを任せられてきた。19年には先発に転向したが、腰を痛め、登板は1試合のみ。今季が先発転向後、実質1年目のシーズンとなる。

7月下旬に先発ローテの一角に組み込まれると、その後、安定したピッチングを続け、ここまで7試合に先発し、3勝2敗、防御率2.78。リリーフ時代は力のある直球がトレードマークだったが、先発でのイメージは違う。松本氏は先発の福谷についての印象をこう話す。

「リリーフ時代はパワーピッチャーで力で抑えていたが、先発になってコントロールが良くなった。ツーシーム、スプリット、スライダーも上手く使っていて、コンビネーションもいい」

チームは現在、31勝36敗5分でリーグ4位。後半戦、ここから上位に浮上していくためにも、先発で5勝を挙げ、6試合連続完投中のエース大野雄に続く存在として、松本氏は福谷に期待を寄せているという。

「中日は大野(雄大)に続く先発がいないが、福谷がそういう存在にならなければいけない。本人も先発として自信をつけてきているだろうし、あとはこれから先も中6日で回っていけるかどうか。これからはだんだん暑さもなくなっていくし、勝ちをつけて、シーズンの最後まで投げ続けていければ」

今季初登板となった7月28日の広島戦以来、7試合続けて5イニング以上を投げ、先発として安定した投球を見せている福谷。R・マルティネス、福、祖父江ら頼れるリリーフ陣がいるだけに、エース大野雄に続き、福谷が先発として勝ち星を重ねていけば、2位だった12年以来、8年ぶりのAクラス入りも見えてきそうだ。(Full-Count編集部)

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