DeNA梶谷が月間41安打の球団タイ記録 逆方向への打撃を指揮官絶賛「1つ上のレベルに」

DeNA・梶谷隆幸【写真:荒川祐史】

9月に入って3度目の1試合4安打で月間41安打、90年パチョレック、96年佐伯貴弘の球団記録に並んだ

■DeNA 8-4 ヤクルト(29日・横浜)

DeNAは29日、横浜スタジアムで行われたヤクルト戦を8-4で勝利した。今季ノーヒットノーランを喫するなど、1勝3敗と相性の悪いヤクルト先発の小川を攻略したのは、9月絶好調の梶谷のバットだった。

2点を先制された初回の第1打席は、カウント1-2と追い込まれながらも、逆方向に安打を放って佐野の逆転弾のきっかけを作った。3回の第2打席も先頭打者として俊足を生かしての内野安打で出塁し、追加点となるホームを踏んだ。1点差に追い上げられた直後の4回には、レフトスタンドへソロ本塁打を放ってヤクルトを突き放した。6回の第4打席も二塁打を放ち、三塁打が出ればサイクル安打の8回の打席は見逃し三振に倒れたが、4安打1打点3得点の大暴れ。ラミレス監督は「アンビリーバブルな活躍」と喜んだ。

9月に入って3度目の1試合4安打、1試合3安打以上の猛打賞は7度目と絶好調の梶谷は、試合前まで9月月間37安打を記録し、球団記録まであと4本としていた。9月は残り2試合の状態で、1試合を残して球団記録に並んだ梶谷は「正直、記録のことは知らなかったが、近づいてからはまずは40本を目標にしていた。球団の記録まで到達できて嬉しい」と話した。

これまでの球団記録は、90年パチョレックと96年佐伯貴弘の月間41安打だったが、梶谷は「尊敬する佐伯さんと肩を並べることができたのは素晴らしいこと」と共にプレーした経験もある先輩の名前を挙げ、「人間として素晴らしいのはもちろん、何よりも練習に対する取り組み方。コツコツと自分のやるべきことを必死にやっていた。あんな人と同じ記録を作ることができたのは嬉しいこと」と思い出を語った。

打球方向の6割強が中堅から逆方向「1月からずっと、かなり意識して徹底的にやってきたこと」

そんな敬愛する先輩の姿勢は、現在の梶谷でもある。記録達成について、梶谷は「根気よくやってきたことが、今の結果につながっている」とお立ち台で話した。今季、復活を果たした背番号3が地道にやってきたことが、逆方向への打撃だ。ラミレス監督が「今年の梶谷は1つ上のレベルに達した」と評価した打撃で、具体的に挙げたのが「今年は左中間からレフト方向への本塁打が増えると思う」というものだった。

事実、29日にレフトスタンドへ運んだ本塁打を含めて今季の15本塁打中、5本がセンターからレフト方向へ放ったもので、安打の割合を見ると、右方向へ引っ張った安打は全体の30%に満たず、6割強がセンターから逆方向へのものとなっている。試合後のリモート会見で、自身の打撃について問われた梶谷は「(逆方向への打撃は)1月からずっと、かなり意識して徹底的にやってきたこと。実際の試合で体がどう反応するかというところで、結果が出ているのは、それが身になっているということだと思う」と分析した。今季は試合前の練習で直接指導も行い、早くから今季の飛躍を予言していた指揮官も「今はボールをよく見ることができているので逆方向に打てるし、しっかりスイングできて、今季の結果につながっていると思う」と成長を感じている。

高い身体能力で攻走守にハイスペックなプレーを見せるが、故障も多く、プロ14年目で規定打席に達したのは4シーズンのみ。3シーズンぶりの規定打席到達となる今季は、少ない試合数ながらキャリアハイも臨める勢いだ。若き日に見た先輩の姿を見習い、それを実践して球団記録に並んだ梶谷。9月最後の試合で安打を放てば、球団史に新たな名前が刻まれることになる。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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