驚愕の1試合3盗塁 初の盗塁王へひた走る鷹・周東が考える成功の極意とは?

ソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

18日の楽天戦で4安打2打点3盗塁3得点と躍動した周東

■ソフトバンク 11-4 楽天(18日・PayPayドーム)

18日にPayPayドームで行われた楽天戦で4安打3盗塁と大活躍したソフトバンクの周東佑京内野手。俊足を武器に楽天守備陣をかき回して、自身初となる1試合3盗塁を決めて、3得点2打点と得点に絡んだ。

まず3回の第2打席で中前適時打。先制の一打を放つと、この日1つ目の盗塁となる二盗を決め、柳田の右中間を破る適時打で2点目のホームを踏んだ。5回には先頭打者として完璧なセーフティバントを決めて出塁。すぐさま中村晃の初球に二盗を決めると、間髪入れず3球目には三盗を仕掛けて成功させ、そのあとの暴投で生還した。

「スキがあればどんどん行こうと思っている」と語る周東。この日の3つの盗塁の中でもスタンドがどよめいたのが3個目の盗塁となった三盗だった。「1球目、2球目と足を上げるのはわかっていました。二塁に行って、1球見て『アレッ?』と思って(セーフになる)確信を持って走りました。思ったより足が進んでいかなかったですけど」。タイミングが際どかったものの、確信のもとでのスタートだった。

これで今季の盗塁数は39個となった。シーズン後半に入って定位置の座を掴んだ周東はここまで88試合の出場で、スタメンに名を連ねたのはまだ63試合目だ。それでいて、日本ハムの西川遥輝に5つの差をつけて盗塁王争いのトップをひた走るのだから驚異としか言いようがない。

今季初盗塁を決めたのは22試合目になってから。初盗塁を決めるまでは、アウトになったらどうしよう、といった不安からなかなかスタートが切れない日々が続いた。大事だったのは「思い切りの良さ」だ。「アウトになってもいいから思い切って行こうと思ったら、盗塁でき始めた。思い切りのよさが足りてなかった」と周東は言う。

「アウトにならないように、とか余計なことを考えない」

かつてスピードスターとして鳴らした赤星憲広氏は盗塁のポイントを「スタートを切る勇気」だと語ってきた。12球団でも屈指の盗塁の名手となった周東もその“極意”について「アウトにならないように、とか余計なことを考えないこと。セーフにはなりたいですけど、セーフになりたいとかも考えない。普通にいって普通に走ること。余計なことを考えないことです」という。

もちろん事前準備として相手投手の特徴やクイックの得手不得手、クイックのスピード、相手キャッチャーのスローイング力など、ありとあらゆる情報は頭に入れる、その上で塁上では、アウトになるかもという不安、そしてセーフになりたいという欲、そのどちらも排除して、ただ思い切ってスタートを切ることが盗塁成功の秘訣だという。

この日で39盗塁として、40盗塁にあと1つとした周東。自分たちの試合が終わった後には他球場の結果をチェックし、ライバルの西川のその日の盗塁数は必ずチェックするという。この日も試合を終えた直後にも関わらず「今日は1個でしたね」としっかりと情報は入れていた。

「35個くらいから40個はしたいと思っていました。50いければいいかな。ここまで来たら抜かされたくない気持ちはあります。でもチームの勝ちを1番に考えないといけない。そういう難しさはあります」。あくまでもチームの勝利、優勝は第一に考える。その中でできる限り次の塁を狙い、大台の50個を目指していく。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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