黄色靭帯骨化症やベーチェット病… 国指定の「難病」を乗り越えたNPB選手たち

ロッテ・大隣憲司2軍投手コーチ(左)とオリックス・安達了一【写真:荒川祐史】

「特発性大腿骨頭壊死症」は坂口憲二さんやケツメイシRyojiさんらも発症

オリックスは26日、西浦颯大外野手が、関西の医療機関にて検査を行った結果「両側特発性大腿骨頭壊死症」との診断を受けたと発表した。年内に手術を行うという。厚労省に指定されている「難病」に直面しながらも、復帰を目指す西浦。過去にも、難病を乗り越えてグラウンドに戻ってきたNPB戦士たちがいる。不屈の選手が示した一例を振り返ってみたい。

西浦が発症した「特発性大腿骨頭壊死症」は、股関節の病気のひとつ。大腿骨の上部にある骨頭の血流が途絶えて壊死した状態になり、関節が変形・破壊することで痛みを生じるという。難病情報センターによると、1年間の新規発生数は約2000~3000人で、保存療法と手術療法があるという。

最近では2018年に俳優の坂口憲二さんが同じ病気により無期限の芸能活動休止を公表。そのほかにも、故・美空ひばりさんやタレントの堀ちえみさん、人気ヒップホップグループ「ケツメイシ」のRyojiさんらが公表。スポーツ界では、J1名古屋などで活躍した元日本代表の望月重良さんが病と闘いながらプレーを続けた。

NPBでも、国指定の難病を乗り越えた選手がいる。最近では、ロッテの大隣憲司2軍投手コーチはソフトバンク時代の2013年に「黄色靭帯骨化症」と診断を受けて戦線離脱。手術をへて、その年の秋季教育リーグで実戦復帰を果たした。2014年以降、ソフトバンクでプレーした2017年まで9勝をマーク、18年はロッテに加入し、白星はなかったが2試合に登板して現役を引退した。

オリックスの安達了一は2016年に「潰瘍性大腸炎」を発症

2010年にロッテからドラフト2位指名を受けて入団した南昌輝投手も、プロ8年目の2018年に「黄色靭帯骨化症」を発症。8月に手術を受けた。1軍復帰を果たした翌2019年は4試合に登板。今季は夏場に6試合に登板し、計7イニング1/3で4失点、防御率4.91だった。

2005年の大学生・社会人ドラフトで巨人から4巡目指名されて入団した越智大祐さんも、プロ6年目の2012年に「黄色靭帯骨化症」と診断を受け手術。翌2013年からは1軍登板こそなかったものの2年間プレーを続け、2014年限りで現役を引退した。

元巨人投手の柴田章吾さんは中学3年生の時に指定難病の「ベーチェット病」を発症。闘病しながら愛知の名門・愛工大名電に進み、3年夏に甲子園出場を果たした。病気を持ちながらも、明大を経て、2011年の育成ドラフトで巨人から3位指名を受けて、プロ野球選手としての夢を叶えた。支配下登録には至らず、2014年限りで戦力外通告を受けたがイースタン・リーグでも登板するなど、1軍登板まであと一歩のところまで奮闘した。現在は実業家として野球の普及に携わっている。

オリックスの安達了一内野手は2016年に指定難病の「潰瘍性大腸炎」を発症。リハビリを経て4月に1軍復帰を果たすと、遊撃のレギュラーとしてチームを支えた。2017年は109試合、2018年は140試合に出場。2019年は故障などで56試合にとどまり、今季は78試合に出場した。32歳を迎えてベテランの域に入ってきたが、華麗な守備はいまだ健在だ。

難病を乗り越えてグラウンドに戻ってきた姿は、ファンの心を揺さぶり、力を与える。西浦が過酷な道のりをへて復帰を果たす日を、ファンは信じて待ち続けている。(Full-Count編集部)

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