住重「浦賀ドック」、横須賀市に無償寄付 れんが積みの遺産

横須賀市に寄付される「浦賀ドック」=同市浦賀4丁目

 横須賀市は11日、住友重機械工業旧浦賀工場(同市浦賀4丁目)に残るれんが造りの「浦賀ドック」とその周辺部を、来年3月中にも同社が市に無償で寄付すると発表した。

 市によると、浦賀ドックはれんが造りの大型ドライドックとして日本最古級。全敷地約9万9千平方メートルのうち、約2万7千平方メートルが寄付される。ドックは保存し、更地になっている工場跡地部分は活用方法を今後検討する。今年2月に同社から寄付の申し入れがあったという。

 工場は2003年に閉鎖され、現在は資材置き場として使用されている。上地克明市長は「浦賀やドックに対する思いが届き、大きな成果につながったことはうれしい。感謝している」と述べ、「貴重な資産を、市民に愛され全国に誇れる施設にしたい。横須賀復活の起爆剤にしたいと強く思っている」とした。

 浦賀ドック周辺については、市の主導で1991年に「浦賀国際文化村構想」、2003年に「浦賀港周辺地区再整備計画」が策定されたが、いずれも18年に廃止された。市長は「同社と信頼関係を築くことが重要と考え、多くの交流を重ねてきた。(ドックを)どう生かしていくかが横須賀の発展の大きな鍵になる」とした。

 住友重工は寄付について「れんが積みドックは歴史的な価値が高く、後世に長く残したいと考えた。地域の活性化につなげてもらいたい」とコメントした。

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