ガンダム愛を形に 「モビルスーツ」製作

 世代を超えて愛される「機動戦士ガンダム」。「モビルスーツ」(有人機動兵器)が登場するロボットアニメだ。アムロ・レイが乗り込む「ガンダム」、アムロと敵対するシャア・アズナブルが乗り込む「シャア専用ザク」の戦いを描いたテレビアニメに夢中になった少年は、大人になった今も作品への愛着を抱き続ける。そのガンダムが沖縄にお目見えした。

■きっかけは余興

 2体の「モビルスーツ」を製作したのは金城健さん(48)=うるま市兼箇段。ごく普通の会社員だ。7年ほど前、結婚式の余興用に、子どもたちに人気の地域ヒーロー「琉神マブヤー」と「龍神ガナシー」を作った経験があり、「インパクトのあるものを作りたい」と考えた。自然とガンダムに行き着いた。

 「ガンダム」の製作期間は約3カ月で製作費は約3万円。「シャア専用ザク」は約6カ月で4万円ほどだ。材料のほとんどを100円ショップで購入し、家計に配慮した。プラモデルを基に設計図となるイラストを描いたという。各部品もアニメやプラモデルを細かく再現した。「360度どこから見てもリアルに見えるよう、試行錯誤した」と苦労を語る。

■仮装で1位

 出来上がった2体は巨大プラモデルのようだ。実際には人が各パーツを装着しており、自由に動くこともできる。高さは190センチ余り。軽量化を意識し、材料のほとんどはスポンジ剤やクッションで占める。重さは10キロにも満たず、身軽に歩いたり、走ったりできる。

 「ガンダム」と「シャア専用ザク」は昨年10月31日に北谷で開かれた「ザ・ハロウィーンミハマ2015仮装コンテスト」に出場し、1位にあたる「ミハマアメリカンビレッジ賞」に輝いた。美浜アメリカンビレッジ事業者会会長で、審査員を務めた時任純孝さんは「手作り感がありつつも、質の高さが高評価だった」と振り返る。

■夢の塊

 イベントで出動要請があると、手伝ってくれるのは長男の健人さん(21)、次男の勇人さん(16)。健人さんは「ガンダムを通して親子の会話が盛り上がる」と笑顔を見せる。妻の直子さん(47)は夫の趣味を褒めもしないが、静かに見守っているという。

 トランジットモールでにぎわう国際通りで2月21日、ガンダムやシャア専用ザクが100メートル余りを練り歩いた。行く先々で人に囲まれ、カメラや携帯での記念撮影に応じた。

 豊島鉄博さん(21)は「夢が詰まってる」と絶賛した。ミュージシャンのKEN子さんは、金城さんが一人で製作したことに驚き「行きすぎた趣味ですね」と冗談を交えながら賛辞を贈った。

文・大城三太

写真・普久原裕南

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