これまで捨てられたり、使われてこなかったりしていた食材を加工し、新たな価値を付けて活用するアップサイクルの動きが広がっている。食品の宅配サービスを展開するオイシックス・ラ・大地が設置したフードレスキューセンター(神奈川県海老名市)を訪ねた。(共同通信=中村彰)
同社は野菜・果物の茎や芯、形がふぞろいな食材の加工・商品化を進めてきた。2021年には310トンのフードロス削減を実現。今年6月にフードレスキューセンターが本格稼働を始めた。
センターでは玉ネギの外皮と長ネギの青い部分をカットして活用する作業が行われていた。野菜の新鮮さを保つため、室温は10度以下に保たれている。センターで扱う食材だけで、25年に年間1000トンの食品ロスを削減することを目指している。
センターで廃棄を免れた食材を使った料理を味わうことができた。メインのハンバーグには色鮮やかなネギの青い部分を活用したソースが。ハンバーグ自体にも刻んだシイタケの軸がまぜられている。ピラフには玉ネギの外皮と商品にはならないマッシュルームが使われ、甘みと風味を醸し出す。検品ではじかれた柿とルッコラをサラダに使用。デザートはロスになった果実を活用した焼きリンゴ。添えられたアイスクリームにはチーズ生産の副産物で栄養豊富なチーズホエイを使っている。
同社はこれまでも「食べられない」として廃棄されていた部分を商品化してきた。「ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎」(430円)、「同 なすのヘタ(黒糖味)」(430円)などは一部コンビニでも販売されている。ともに薄味で、だからこそ素材の風味とうまみを楽しむことができる。
このほかミールキット商品にも欠けたり割れたりしたコメや牛タンの皮など未活用の食材を積極的に投入し、フードロス削減に取り組む構えだ。ほかにもビオスタイル(本社・京都市)はカカオ豆の皮・カカオハスクを活用したカレーやせんべいをラインアップした新ブランド「GOOD NATURE MARKET」を9月に立ち上げた。そのままでは販売できないバナナを利用したパンなどを販売するスナックミー(本社・東京)は規格外の食材の情報を募る「アップサイクルおやつプロジェクト」を今年3月に始めた。
アップサイクルの動きは着実に広がっている。