【NBA】まだチャンスはある!渡辺雄太にKJ松井が積極攻撃のススメ

渡辺(右)は初先発のチャンスを生かせなかった(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(57)】米プロバスケットボールNBAトロント・ラプターズの渡辺雄太(26)は、3日(日本時間4日)に行われたホームのデトロイト・ピストンズ戦で自身初のスタメン出場を果たした。だが11分弱のプレーで無得点と結果を出せず、翌日の試合は出番なしとなったが、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は「最悪の結果ではない」と指摘。その理由とは――。

ピストンズ戦での渡辺選手は、持ち前の守備はまずまずでしたが、攻撃に関してはボールをまったくと言っていいほど触りませんでした。

スリーポイントをエアボール(リングに当たらないシュート)してしまう場面もあり、エースのカイル・ローリー(34)に「もっと落ち着け」と言われることも。3本打ったシュートを決められず、翌日(4日=日本時間5日)のボストン・セルティックス戦で出場機会を与えてもらえなかったことで、心配になったファンの方も多いでしょう。

確かにこれがニック・ナース監督(53)の采配でのものだったら心配ですが、この時のラプターズは監督と6人のスタッフが新型コロナウイルス感染拡大防止規定でベンチ入りできず、セルジオ・スカリオーロ・アシスタントコーチ(AC=59)が指揮を執りました。

もちろんスタメンで結果を出せず、次の試合で使われなかったことは、いいことではありませんが、あくまでもACの采配でのことです。これによって今まで渡辺選手が続けてきた努力が消えてしまうわけではないですから、絶望的に悪いというわけではありません。

とはいえナース監督が復帰してからも使われなくなったら、深刻です。守備に関して評価が高いことは変わらないので、今後も確実に出場機会をもらうためにはコーナーでボールをもらうのを待つだけでなく、もっとゴールに向かって動いて自分からチャンスをつくっていくようにしてほしいです。

攻撃の積極性という意味では、八村塁選手(23)も同じ。オールスター戦前は4試合連続で得点が1桁。ウィザーズはブラッドリー・ビール(27)とラッセル・ウエストブルック(32)、さらにはダビス・ベルターンス(28)と外からのシュート力が高い選手が多いですが、どうしても調子に波があります。

その中で八村選手が早い段階でインサイドで得点すれば攻撃のバリエーションが広がります。オールスター戦前は11試合で8勝3敗。その勢いを保つには八村選手の力は欠かせないですからね。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、昨季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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