新ルールで投手の牽制回数制限 捕手の牽制技術や肩の強さが重要に

メジャーリーグでは今季から様々な新ルールが導入される。そのうちの1つが「投手が牽制をする、もしくはプレートから足を外すことができるのは1打席につき2度まで」というものだ。3度目以降が完全に禁止されているわけではないが、走者をアウトにできなかった場合、ボーク扱いとなって走者は進塁してしまう。つまり、投手の牽制回数は事実上1打席2度までに制限されたのだ。一方、捕手の牽制回数を制限するルールはない。今季からは捕手の牽制技術や肩の強さが今まで以上に重要になるとみられている。

この新ルールを自身にとって魅力的、好都合と考えているのがウィルソン・コントレラス(カージナルス)だ。昨季限りで引退したヤディアー・モリーナの後釜としてカブスからライバル球団のカージナルスに加わった強打強肩の捕手は、2016年のデビュー以降、メジャートップの牽制刺25回を記録。「各球団は新ルールを活用して積極的に走ってくるだろう。捕手からの牽制が大事になる。アウトにできなくても走者をベースに釘付けにできるからね。そして、捕手の牽制回数に制限はない」と早い段階で捕手からの牽制の重要性を認識している。

カージナルスは強肩好守の名捕手モリーナが正捕手となった2005年以降、許した盗塁がメジャー最少の886個(2位ダイヤモンドバックスは1310個)しかなく、相手チームが盗塁を試みた回数も最少。逆に盗塁阻止率はメジャートップだった。カージナルスはモリーナと同水準のディフェンス能力をコントレラスに求めているわけではないものの、強肩を生かしたコントレラスの牽制技術は新ルール対策としてカージナルスの大きな武器になる可能性を秘めている。

牽制回数制限のルールがテストされたマイナーリーグでは、走者が盗塁を試みる回数が26%増加したというデータが出ている。新ルールのもとで積極的に盗塁を試みようとする走者をできる限り塁上に釘付けにしておくためには、今まで以上に捕手の牽制技術や肩の強さが重要となるのは想像に難くない。

カージナルスのオリバー・マーモル監督は「(新ルール対策のために)適切な男を手に入れたと思っている。牽制回数の制限によって走者のリードは大きくなるが、彼は牽制を得意としている捕手の1人だ。走者のリードが大きくなることを防ぐことには大きな意味があるよ」とコントレラスに信頼を寄せる。今季は例年以上に捕手からの牽制が目立つシーズンとなるかもしれない。

© MLB Advanced Media, LP.