恐竜の咽頭化石を世界で初めて発見 福島県立博物館、北海道大学など

福島県立博物館の吉田純輝学芸員、北海道大学総合博物館の小林快次教授、米自然史博物館のマーク・ノレル博士の研究グループは、モンゴルで発見された鎧竜類恐竜のピナコサウルスの化石から世界で初めて咽頭化石を発見した。

福島県立博物館によると、ピナコサウルスは中生代の白亜紀(約8,400~7,200万年前)に生息し、全身を鎧のような皮骨で覆われた4足歩行の植物食恐竜。化石は2005年、米自然史博物館がモンゴルのゴビ砂漠で発見した。ほとんどの骨がつながった状態で見つかるなど、世界でも最上級の保存状態だった。

研究グループが化石を詳細に観察するとともに、現生鳥類、は虫類の咽頭骨標本100点以上と比較したところ、頭骨内にある未確認の骨が咽頭骨であることが分かった。恐竜の咽頭骨化石が見つかったのは世界初。

ピナコサウルスの咽頭骨は大きな輪状骨を持ち、披裂骨に突起があるなど鳥類に類似していた。鳥類と同様に音声コミュニケーションに適した形態といえ、鳥類のような発声をしていた可能性が高い。

恐竜の咽頭骨化石が見つかったことで、これまで手を着けられていなかった恐竜の音声進化の研究が進むと期待されている。まだ不明な点が多く残る恐竜の生態解明にも大きな一歩となりそうだ。

見つかった化石の複製標本は2月16日(木)から3月10日(金)まで福島県立博物館のポイント展「世界初!恐竜の喉の化石」で展示している。

論文情報:

【Communications Biology】An ankylosaur larynx provides insights for bird-like vocalization in non-avian dinosaur

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