1本で2つの顔と機能が楽しめるハミルトン「ジャズマスター Face 2 Face III」

懐中時計の時代から、業界をリードする魅力的な時計を作り続けてきたアメリカを代表するブランド「ハミルトン」。現在はスイスのスウォッチグループの主要ブランドのひとつだ。今回は定番コレクション「ジャズマスター」のユニークな新作「ジャズマスター Face 2 Face III(フェース・トゥ・フェース スリー)リミテッドエディション」を紹介する。

ハミルトンは「時計王国」だった19世紀当時、アメリカ世界最高峰の精度と信頼性を誇る懐中時計として不動の名声を確立したブランドだ。ミリタリーウォッチがお好きな方ならハミルトン「カーキ」をご存知だろう。懐中時計に代わって腕時計が広く使われるようになったきっかけは、第二次世界大戦だった。カーキはアメリカの兵士のために同社が生産したミリタリーウォッチで、それまでの「時計は将校が持つ特別なもの」というイメージを過去のものにし、今ではカジュアルウォッチ、アウトドアウォッチの定番として愛されている。 また、1970年には世界初のハミルトン「パルサー」という世界初のデジタルウォッチを発表するなど、技術や機能で常に挑戦を続けてきた。また、ハリウッド映画とコラボして、その中に登場するモデルを製品化してきたので“シネマウォッチ”ブランドとしても知られている。

写真左:ハミルトンは1892年にアメリカ・ペンシルベニア州のランカスターで創業した時計ブランド。写真は旧本社
写真中左:鉄道の運行に使う高精度な懐中時計で名声を確立した。写真は1920年製造の懐中時計
写真中右:現代の「カーキ」の原型となった1944年製造のミリタリーウォッチ 写真右:1970年に発表された初代のハミルトン「パルサー」

そしてジャズマスターコレクションは、この名門の、時計愛好家も絶賛するクラシックスタイルとして発売された。ジャズマスター Face 2 Face IIIの最新作は、世界999本限定で発売される機械式クロノグラフで、同社のダブルフェースモデルとしては3作目に当たる。

いちばんの魅力は、その名にもあるように反転式の丸型ケースを採用した「ダブルフェース(リバーシブルケース)」となっており、1本で2つの顔と機能が楽しめることだ。ケースの表と裏にそれぞれ文字盤があり、表側は6時位置のブルーのインダイヤルをアクセントにしたオーセンティックなスタイル。だがリュウズを軸にくるりとケースを裏返すと、自動巻きのローターとブルーのクロノグラフ針を備えた「もうひとつの顔」が現れる。 文字盤の外周部には、タキメーターとパルスメーターの機能を果たす2つの特別な目盛り(スケール)があり、裏側のクロノグラフ針は表側と連動している。タキメータースケールはクルマなどの移動する物体が「1kmの距離を何秒で通過するか」を計測することで、その物体が「時速何キロのスピードか」を計測するためのもの。そしてパルスメータースケールは「脈が30回打つのに何秒かかるか」を計測することで、1分間の脈拍がわかるというもの。また、ゼンマイを巻き上げる自動巻きローターをはじめ、ハミルトン自慢のH-41機械式ムーブメントの構造や動きも楽しめる。

ダブルフェースの時計、いわゆるタキメーター&パルスメータースケール付きのクロノグラフは他のブランドにも存在する。だが、どちらも時計コレクター向けの高価で複雑なものか、復刻モデルだ。この2つの魅力を1本の時計で兼ね備え、魅力的な価格のものは時計界でも例がない。しかも、ケース厚はシングルフェースのクロノグラフと変わらない17.25㎜に抑えられている。 またパティーヌ仕上げ(何層にも染め上げる革の染色技法のこと)、ブルーのステッチ入りのブラウンレザーストラップもこの時計の見逃せない魅力のひとつ。ひと味違った機械式クロノグラフを求める人や、アメリカン・トラッドなファッションが好きだという人には一見の価値がある一本だろう。

HAMILTON / ハミルトン

ジャズマスター FACE 2 FACE III LIMITED EDITION 45万1000円

SPEC

  • ケース径:44 mm
  • 自動巻き、反転式リバーシブルSSケース、表側:日付&曜日付き3カウンタークロノグラフ、裏側:タキメーター&パルスメーター機能、バワーリザーブ約60時間、5気圧防水

Text : Yasuhito Shibuya

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