地域に沿ったケアを 3分野の認定看護師3人資格生かしキャリア形成 糸魚川総合病院

 糸魚川市竹ケ花の糸魚川総合病院(山岸文範病院長)は高い専門性を持った看護職員の育成に力を入れている。同病院は現在、感染管理、摂食・嚥下(えんげ)障害看護、皮膚・排泄(せつ)ケアの3分野で3人が、豊富な知識と熟練の技術を持つ認定看護師の資格を取得。それぞれ研さんに励み、キャリアを積んで糸魚川の地域に沿った看護ケアを院内外で実践している。

糸魚川総合病院で認定看護師資格を持つ廣田光恵看護部長、髙瀬宏美さん、奥村歳子さん、渡辺祐飛さん(右から)。山岸文範病院長(左から2人目)も院内外での連携した活動に期待し応援する

◇地域全体での感染対策
 感染管理の渡辺祐飛さん(35、同市出身、平成30年取得)は院内の感染管理を担う。手指衛生や防護具の着脱指導、感染症の種類や特徴に合わせた対策の立案、指導、評価などの他、地域の高齢者施設などを訪問して研修講師や感染症発生時の指導にも対応している。
 新型コロナウイルスのパンデミック(感染症の拡大流行)を経験し、「感染対策は病院だけでなく、企業なども含めて地域全体で取り組む必要性がある」と強く実感。「地域に感染対策を担うリーダーを育成するなど底上げをしていきたい」と話す。
◇院内外で食支援つなぐ
 摂食・嚥下障害看護の奥村歳子さん(42、京都府出身、令和3年取得)は病気や障害、加齢により口から食事を摂(と)ることに問題を抱えた人の食支援を専門とする。「地域で広く活動できる看護師に」と同分野の資格取得を目指した。
 「地元飲食店で嚥下障害の人も食べられるメニューの提供など、院内外で食支援のつながりをつくっていきたい」。専門性を強みに地域に出て活動する「コミュニティナース」の可能性や広がりも視野に入れる。
◇講座や研修でケア支援
 皮膚・排泄ケアの髙瀬宏美さん(41、同市出身、平成22年取得)は人工肛門や創傷、失禁ケアを専門的に行う。患者と家族、同分野に関わる院内外職員の指導、教育、相談に当たっている。認定看護師になって10年が経過。「ケアの質を担保し啓もう活動を行うため知識、技術が備わった仲間の育成と定着が目標。対医療者だけでなく出前講座や相談会など地域で実践研修ができたら」と考える。
◇知識技術生かして貢献
 山岸病院長(64)と3人は「糸魚川の未来を担う認定看護師」をテーマに座談会を開いた。資格取得を目指したきっかけや研修課程の乗り越え方なども交え、「今後3人がコラボ(連携)してどんな地域貢献ができるか」を語り合った。

「糸魚川の未来を担う認定看護師」をテーマに座談会を開いた(2月24日、同病院内災害治療ホール)

 山岸病院長は「糸魚川の看護を引っ張っていく存在。人口減少の時代、教育の充実が重要。これからの地域社会を支えるため後輩の育成、キャリアアップ支援もしていってほしい」と期待した。
 同病院では在籍のまま教育機関を受けることができる支援体制を取っている。糸魚川市も高度医療技術者人材育成支援補助金制度を設け、資格取得に係る費用を助成している。

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