今季出場わずか2試合… チェルシーとカンテの”相思相愛”続くか

2022年8月 トッテナム戦でプレーするカンテ @Getty Images

イングランド・プレミアリーグのチェルシーがフランス人MFエンゴロ・カンテとの再契約に向けた交渉を進めている。

昨年8月以降、同リーグで出場2試合にとどまっているにもかかわらず……だ。実際のところ、両者の契約延長交渉のタイムリミットが差し迫っているのだ。

欧州サッカーの移籍事情に詳しいパブリッジョ・ロマーノ氏は2日(日本時間)、自信のSNSで「カンテはチェルシーに深い愛着を抱いているし、何よりも、今後もロンドンで生活を続けたいと望んでいる」とし、「一方のチェルシー側もカンテと再契約交渉中だ。両者は言ってみれば相思相愛の関係にあり、契約延長の合意はもう目前と言える。あとは、契約の延長期間など、細かい条件を詰めていくだけでいい」と明らかにした。

2023年夏をもってチェルシーとの契約満了を迎えるカンテについては、頻繁な負傷のため、昨シーズンの段階から「移籍が濃厚」との説がささやかれていた。

最も多く試合に出ていたのは2016―17シーズン。チェルシーがプレミアリーグで優勝した年だ。カンテのリーグ戦欠場はわずか3試合だった。

しかし、その後欠場試合数は増えていく。2019―20シーズンは頻繁な負傷のため16試欠場。さらにその後の2シーズンも欠場が相次いだ。

加えて今季は8月14日のトッテナム戦でハムストリングを負傷。W杯を棒に振るなど長期間に渡り戦線を離脱している。リーグ戦出場も2試合にとどまっている状況。負傷が続くという意味では、カンテはまるで「ガラス細工」となってしまった。契約延長は一般的な感覚では考えにくい。

ただ、チェルシーのチーム状況を考えると様々な見方ができる。

チームはここ数年、DFのジェームズ、チルウェル、フォファナ、MFのコヴァチッチ、ザカリアら「もともと期待していた」有力選手の負傷が相次ぎ、戦力面で大きな不安を抱えてきた。彼らは2023年からようやく復帰し始めたという流れがある。

そういった中でカンテを手放せない面がある。彼自身も2月下旬からチーム練習に合流するなど、復調の兆しを見せている。

負傷が多い点は契約交渉にはマイナス材料ではあるが、今回のケガの状況を個別にみると昨年8月のハムストリングの回復状態は「順調」。本来、チーム側は「4ヶ月程度は療養が必要」と発表していたのだ。

ケガによるフィジカル面の不安を抜きにすれば、カンテは依然として世界トップクラスのセントラルミッドフィルダーといえる。何よりも、段違いの運動量でチーム全体を引っ張るポテンシャルに関しては他の追随を許さない。もし、カンテが主軸として存在していなければ、2020―2021シーズンの欧州チャンピオンズリーグ制覇もなかっただろう。

一方で、カンテとの契約延長には課題もある。

言うまでもない昨今の「大量補強」だ。

チェルシーはプレミアリーグでも史上最高となる移籍金を投じてアルゼンチン代表MFフェルナンデスを獲得しているほか、今夏の移籍市場でも有力MFの補強を狙っており、かつてのようにカンテが常時スタメンとして活躍する機会は減るともみられる。

そうしたもろもろの事情を理解したうえでも、英国メディア「ザ・ライン」は「カンテはチェルシーと長期契約を再度結ぶことを強く希望し、フリートランスファーによる移籍を拒否した」と発表している。果たしてどうなるか。

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