河津桜が結んだ縁 苗寄贈した元教員、宮ケ瀬小中で講演

河津桜を通じた「一期一会」の大切さを話す山本さん(中央)=清川村宮ケ瀬の村立宮ケ瀬中学校

 各地で満開を迎え、春の到来をいち早く告げている河津桜。神奈川県清川村立宮ケ瀬小学校・中学校(同村宮ケ瀬)でも一角に植えられた2本の木に咲く花々が見頃を迎えようとしている。2006年に苗木を寄贈した静岡県西伊豆町在住の元教員・山本敬一さんが同校で講演し、人とのつながりが希薄になりがちな時代だからこそ、河津桜が結んだ人との出会いや縁を大切にしてほしい、と在校生らに語りかけた。

 小学校の教員として働いていた当時、横浜からの帰り際にふと宮ケ瀬を訪れ、偶然開催していた同校の「ふれあい文化祭」の看板を目にした。立ち寄って生徒の活動に触れた感想を残すと後日、石川一郎校長(当時)から連絡があり、行事への招待など交流を重ねるきっかけに。山本さんがちょうど苗を譲り受けていたことから、同校への寄贈につながったという。

 2日に同校で開催した講演会では、山本さんは「立ち寄ってみよう、言葉を残そう、などと思わなければ、ここに河津桜が植えられることはなかった」と強調した。続けて「このように人間の縁は少しのきっかけで始まり、どうするかは自分で決められる。見たい、話してみたい、と思う気持ちを実行に移すことが大事ではないか」と“一期一会”の大切さを話していた。

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