相模原市産の有機米、学校給食に 市教委が試験提供 環境に優しく食育も

8日の市立田名小学校の給食では相模原市産の有機米、ドライカレー、洋風かきたま汁などが提供された(相模原市教委提供)

 化学肥料や農薬を使用せずに育てられた相模原市産の有機米が、同市中央区の市立田名小学校の給食で提供された。環境負荷低減や環境学習の観点から、学校給食に有機栽培の米や農産物を使う取り組みが全国で広がりつつある。今回は試験的に行ったもので、市教育委員会は「市内で有機米の給食を広げられるか、検討していきたい」としている。

 市立田名小学校の給食で出された有機米「さとじまん」は、学校近くの中央区田名地区で有機稲作を実践する小川誠さんが栽培した。小川さんの田んぼでは農薬や化学肥料は一切使わず、肥料は米ぬかと天然のミネラル資材だけを使用しているという。

 8日の学校給食では有機米44キロが提供され、1~6年生の全児童が味わった。15日にはもち米と混ぜ、赤飯として出される予定という。

 有機農業は生態系に負荷をかけない手法として知られ、政府も有機農業拡大の方針を示している。農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」は2050年までに農薬使用量(リスク換算)を50%、化学肥料の使用を30%減らし、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大する目標を掲げている。

 一方、学校給食での活用には課題がある。市教育委員会学校給食課は「農産物は規格がそろわず、小規模で生産している農家も少なくなく、大量調理の学校給食での活用は難しい。また、現時点では高値のため、市内全域で提供するには検討が必要」と話す。

 有機米給食を巡っては、千葉県いすみ市が市内全ての小中学校で有機米を提供しているほか、他の自治体でもモデル校を設置し活用する動きが広がっている。

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