海洋放出「理解なしに行わない方針を遵守」総理

 岸田文雄総理は東京電力福島第一原発事故で増え続ける放射能汚染水のALPS処理水(放射性物質のトリチウムは含む)を海洋放出することについて、11日の記者会見で「経済産業省から福島県漁連に対して回答した『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』との方針は遵守する」と語った。

 岸田総理は「特定の人を関係者と考えるわけではなく、理解の度合いについて、特定の指標や数値によって一律に判断することは困難と考えているが、漁業者を始め、地元の方々の懸念に耳を傾け、政府挙げて丁寧な説明と意見交換を重ねていく」と改めて理解を得られるよう努力していく姿勢を強調した。

 岸田総理は「本年1月に関係閣僚等会議において具体的な海洋放出時期は『本年春から夏と見込む』と示している」と放出時期を変更する考えは持っていない。ただ理解を得るため「今後もIAEA(国際原子力機関)と連携して科学的根拠に基づく情報発信を行い、理解醸成に取組んでいく」とアピールした。

 一方、原発再稼働については「高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な安全審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められず、安全性と地元の理解が最優先であることは大前提と考えている」と語った。(編集担当:森高龍二)

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