RIKU,糸川 耀士郎etc.出演 太田雄貴監修 ミュージカル「フィーダシュタント」開幕 欲望、友情、夢、絆。

「フェンシング」を題材にした密度の高い台本、 優雅で中毒性あるミュージカル「フィーダシュタント」
韓国で高い評価を得ている作家チョン・ウンビと作曲家チェ・デミョン、 製作会社ミスティック・カルチャーにより5年の歳月をかけて作り上げられ、演出は韓国ミュージカル界で話題の大人気作品 「ファンレター」「リジー」を手がけたキム・テヒョン、 音楽監督は「ザ・デビル」「黑い司祭たち」のシン・ウンギョンが務め、 振付に「キンキーブーツ」「イフ/ゼン」のイ・ヒョンジョン、 アクションに「R&J」「新興武官学校」のソ・ジョンジュと、 素晴らしいクリエイターが集まり完成した本作は、 すぐに韓国内で話題となり期待感を高め、開幕後、異例の速さで大ヒットとなった ミュージカル「フィーダシュタント」が、 こちらも異例のスピードで日本公演が実現。

エリートスポーツ学校に入学して経験する少年たちの成⻑の過程と、心に潜む権力への欲望、葛藤を描く物語。
今回、この話題の新作ミュージカルに挑戦するのは、 様々な分野で活躍する6人の出演者。
全23曲のミュージカルナンバーと フェンシングを取り入れた演出により、新たな挑戦をする。
また、物語の中でもキーとなるフェンシングの指導には、日本初のフェンシング銀メダリスト太田雄貴と、昨年の東京オリンピックに出場した徳南堅太が務める。
舞台中央に花道、この仕様は日本版のみ、開演5分前には前説のアナウンス、マグナス・ヴォルカー役のRIKUと親友のアベル・ルター役の糸川耀士郎がユーモアたっぷりに。ちょっと早めに席についておきたい。
シルエットで子供2人が遊ぶ姿が、楽しそうに笑う声。マグナスとアベル、単なる幼馴染みではなく、いつも一緒に行動し、共に笑いあっていた仲だということがわかる。そして17歳の二人が登場し、歌う。「この剣に変えて互いを守る」と。それから、他のキャラクターが登場、「勝利に進め」と歌う。オープニングで観客の心を掴む。時代は1930年代の後半、ドイツ。第一次世界大戦終了後、ドイツ帝国は崩壊し、1919年ドイツ共和国(ヴァイマル共和国)でワイマール憲法が制定、当時の世界では最も民主主義的な憲法だった。だが、1933年、ヒトラーが首相になり、またたく間にドイツを一党独裁国家に。ナチスの政策を実行するために必要な警察権力を組織、同年、ナチ党が国家政党に。ナチ党が国内唯一の政党となり、ナチス政権に反対する組織はほぼ排除。民主主義はドイツで死んでしまった年でもある。この物語の出だしはそれから数年後の1938年。

野心家のマグナスは最高のフェンシングの選手になるべくドイツのエリートスポーツ学校に入学、思慮深く、友達思いのアベルも、だ。17歳、夢や希望に満ち溢れている年頃だ。厳しい試験の末に合格、そこで出会う、冷徹なフェンシング部のエース、フレドリッヒ・カール(正木郁)、プライドの高い軍事マニアで傲慢だが内面は脆い、ハーゲン・アクスマン(吉高志音)、自由奔放でユーモア溢れる、ジャスパー・ミュラー(浦川翔平)、この学校の団長で世界的なフェンシングの英雄、優雅で残酷なラインハルト・クレア(藤田玲)。

クレアは言う「ワンチームであり、ライバルだ」と。仲間であると同時に切磋琢磨する相手でもあるわけだ。そして学校の授業、映像で二つの頭蓋骨が映し出される。「アーリア人の頭蓋骨は完璧」というクレア。ジプシー(この言葉自体が差別用語)、ユダヤ人を激しく毛嫌いする。しかし、彼らは思う「人は外見で判断するのではない」と。彼らが生まれた年は1921年、民主主義だった頃のドイツで世界恐慌はまだ先。そんな空気感の中で育った彼ら。だが、もうこの時代はそういった考えや自由な思想を許さなかった、もちろん学校でも。心に疑問が芽生える彼らだが、クレアに認められないことには、更なる高みに行くことができない。日々、フェンシングに打ち込む彼ら。

耳に残る楽曲であり、難易度も高いナンバーが次々と繰り出される。音楽、フェンシングのシーン、彼らの日々がテンポ良く展開される。ある日、ラジオを見つける、禁止されているジャズが聞こえてきた。実は不穏な未来の始まりの序章。そんなおりにマグナスはクレアに才能を認められる。彼に見出されたことはマグナスの将来にはとても大事なこと。権力への欲望に揺れるマグナスは竹馬の友であるアベルと対立することになってしまう…と言うのが大体の流れ。

ここに登場する17歳の少年たちは特別な子供ではない。悩み、苦しみ、友情に揺れ動く。また、登場するキャラクター全てに奥行きがあり、共感する部分も多い。この5人のキャラクターのバランスもよく、主人公はマグナスであるが、群像劇の要素もある。このなかで唯一の大人キャラクターがクレア。フェンシングの英雄という設定らしく威厳があり、厳しい存在として彼らに立ちはだかる。

青春群像劇の要素だけでなく、この時代の空気、極めて哲学的でもあり、また人間の根源、正義、人が持つ欲望、弱さ、脆さ、その全てが詰まっている。台本もよく計算されており、最後まで目が離せない、どきどきする展開だ。1幕ラストのビッグナンバーは象徴的、この作品のタイトルでもある「フィーダシュタント」は圧巻。この言葉の意味は「抵抗」。17歳の決断、英断、それがどういう顛末になるかは、観ていれば納得。この時代の渦に巻き込まれつつも、彼らなりに正義と思いを貫き通す姿にきっと感動できるはず。また、フェンシング監修に銀メダリスト太田雄貴氏など錚々たるメンバーが集結。その成果、フェンシングシーンは目を見張るものがある。公演は26日まで。

ゲネプロ終了後に会見があった。キャスト6名と監修の太田雄貴が登壇した。やはり話題はフェンシング。正木郁は「マグナスとは本当の真剣勝負をしています」とコメント。これ以外のフェンシングシーンも本物度高し、ここは見どころ。糸川耀士郎も「千秋楽まで保つのか(笑)」とコメント、それだけすごい!しかも花道近くの席に座っている観客はもうフェンシングがすぐそこで!藤田玲の演じるキャラクターは”完璧”「やりづらい」と苦笑。そして「一人だけ大人の設定で子供たちの成長を見る役。(ちなみに)僕は悪い人ではありません(笑)」と笑いをとる発言も。監修を引き受けた太田雄貴は「軽い気持ちで引き受けた」ことを明かし、始まって「後悔」と(笑)。キャストのフェンシングについては「100点」と笑顔。韓国版も見たそうだが「韓国の俳優さんも素晴らしくて」とミュージカルのクオリティの高さを絶賛。生まれて初めてのフェンシング、主演のRIKUは「初めてダンスレッスンを受けた時の気分を味わった」そうで、世界チャンピョンという設定の藤田玲は「苦労しました」とコメント。とにかく全員がフェンシングは「初めまして」状態であるのだが、「初めまして」には見えないくらい流麗でかっこいい。藤田玲は「危ないんですよ、(舞台近くの)お客様は最悪、自分の身を守ってください」と戯けた。また、17歳という設定、RIKUは「噛み砕いて落とし込んでいく」と役作りについて語った。ちなみに17歳の時点で太田雄貴はすでにフェンシングをやっていただけでなく、全日本チャンピョン!一同「おおおお〜(驚愕)」
吉高志音は「台本読んで心が動いた、17歳の少年が抗って戦う姿を見てほしい」と語る。浦川翔平も「もう(初日が)来ちゃったって感じですか…いろんな感情を心の奥にピシッと届くように」と意気込みを。
またフェンシングの奥深さ、太田雄貴は「剣が重なり合う音に注目してほしい」と言い「フェンシングは剣で会話する、剣で表現するので」とコメント。フェンシングは、フランスで発祥した剣を用いるスポーツ。また、フェンシングの原形は、中世の騎士たちによる剣術と言われている。この剣の音が時には緊張感を孕み、時には雄弁に心を語る、そんな細かいことに注目すると俄然面白くなってくる。
最後にRIKUが「チーム一丸となってスクラム組んで日本版の『フィーダシュタント』を見たかったな、応募しなくって失敗したなと思っていただけるように!」と締めて会見は終了した。

概要
公演タイトル : ミュージカル「フィーダシュタント」
日程・会場: 2023年3月16日(木)~3月26日(日) ニッショーホール(旧ヤクルトホール)
キャスト
RIKU(THE RAMPAGE)・ 糸川 耀士郎
正木 郁 ・ 吉高 志音 ・ 浦川 翔平(THE RAMPAGE)・ 藤田 玲
作・作詞:チョン・ウンビ
作曲:チェ・デミョン
編曲:シン・ウンギョン、チェ・デミョン
オリジナルプロダクション:ミスティックカルチャー
日本版演出:ほさかよう
日本語翻訳/訳詞 : 安田佑子
フェンシング監修:太田雄貴
フェンシング指導:徳南堅太
音楽監督 : 宮﨑誠
アシスタントプロデューサー : 津幡未来
プロデューサー : 石津美奈
エグゼクティブプロデューサー : 家村昌典
主催/企画/制作 : LDH JAPAN
公式ホームページ : http://r.tribe-m.jp/widerstand/
公式Twitter : @widerstand23

権利表記
Book & Lyrics by Chung EunBea
Music by Choi DaeMyung
Music Arrangement by Shin EunKyoung, Choi DaeMyung
Directed by Kim TaeHyung
Choreography by Lee HyunJung
Action Design by Seo ChongJu
Original Production by MYSTIC CULTURE
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