劇団扉座『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』 横内謙介よりコメント到着

劇団扉座の新作『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』が5月13日より厚木にて、そして5月17日より座・高円寺1にて上演される。

中島敦は、日本の小説家。代表作は『山月記』『光と風と夢』『弟子』『李陵』など。第一高等学校、東京帝国大学を卒業後、横浜高等女学校の教員勤務のかたわら小説執筆を続け、パラオ南洋庁の官吏(教科書編修書記)を経て専業作家になったが、同年中に持病の喘息悪化のため33歳で病没。死後に出版された全集は毎日出版文化賞を受賞。著作は、中国古典の歴史世界を題材にした作品や、南島から材を得た作品、古代伝説の体裁をとった奇譚・寓意物、自身の身辺を題材にした私小説的なものなど、未完作も含めわずか20篇たらず。漢文調に基づいた硬質な文章の中に美しく響く叙情詩的な一節が印象的。冷厳な自己解析や存在の哲学的な懐疑に裏打ちされた芸術性の高い作品として評価されている。
特に遺作となった『李陵』の評価は高く、死後に名声を上げた作品のひとつとして知られている。『山月記』は雑誌『文學界』に掲載されたことで中島敦の名を初めて世間に知らしめた作品。のちに新制高等学校の国語教科書に広く掲載され、多くの人々に読み継がれている。なお、自筆資料や遺品は神奈川近代文学館の「中島敦文庫」に所蔵。

~座・高円寺にむけてのご挨拶~
Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~
昭和戦中の文豪・中島敦の未完の小説「わが西遊記」の「悟浄出世」と「悟浄歎異」の二編を換骨奪胎して、自省と沈思黙考に留まり行動しない知識人的なカッパの妖怪の沙悟浄が三蔵法師一行の冒険に加わり、考えるよりも先に行動実践がある、悟浄とは真逆の生き方の孫悟空らとの出会いによって、未知なる世界を体験する、沙悟浄目線の新しい西遊記を新作として上演します。
悟浄は引き籠もりの青年であり、心に思っても口に出さない大人であり、語りはしても自ら動こうとしない傍観者です。それは現代を漂う我々そのものの姿であり、中島敦の描いた悟浄の苦悩と屈託は、我々の病理だと思うのです。

横内謙介

あらすじ
昭和初期を思わせるレトロな書斎で、背広姿の河童が思索にふけっている。
一見物書きに見える彼こそは、流沙河の底に棲む、河童の妖怪(のちの沙悟浄)である。
彼はひたすら自己をみつめるばかりで、行動を起こそうとせず、だがその為に無為なる己の存在を恥じ、忸怩たる思いで焦燥の日々を過ごしていた。
さまざまな文献にあたり、我が道を模索したが、確たる答えはみつからない。
(静なる前半)
やがてそんな彼にも転機が訪れる。虚しさに苦しんだ果て、天の声(観音菩薩の言葉)を聞いたのだ。
「身の程知らぬ『何故』は、向後一切打ち捨てることじゃ。疑わずして、ただ努めよ」
そうして河童は、三蔵法師一行の旅に従うことになる。
その冒険で自分とは真逆の、懐疑することからの脱出者、孫悟空や三蔵法師、猪八戒の力を思い知り、畏怖する。
「意味を知って動くのではなく、動くこと、そのものに意味が生じる」
その真理に驚愕する沙悟浄も、少しずつ生まれ変わってゆく。

概要
劇団扉座第75回公演
『Kappa ~中島敦の「わが西遊記」より~』
厚木:厚木シアタープロジェクト第35回公演
日程会場:2023年5月13日(土)14日(日) 厚木市文化会館 小ホール
東京:「座・高円寺 春の劇場05」 日本劇作家協会プログラム 劇団扉座第75回公演
日程会場:2023年5月17日(水)~28日(日) 座・高円寺1

作・演出:横内謙介
出演:岡森諦 有馬自由 犬飼淳治 累央 鈴木利典 新原武 松原海児 紺崎真紀 小川蓮
砂田桃子 小笠原彩 北村由海 佐々木このみ 大川亜耶
/ 菊池均也(客演) ほか
スタッフ:
作・演出:横内謙介
舞台美術:金井勇一郎(金井大道具)
舞台監督:大山慎一(ブレイヴステップ)
照明:塚本悟(塚本ライティングデザイン)
音響:青木タクヘイ(ステージオフィス)
殺陣:西村陽一
衣裳:木鋪ミヤコ・大屋博美(ドルドルドラニ)
メイク:比嘉奈津子
協力:krei inc. 大沢事務所 JJプロモーション すみだパークスタジオ ベルモック テンプリント 明和運輸 厚木扉座サポーターズクラブ〈厚木公演〉
宣伝美術:吉野修平(ヨシノデザインオフィス)
題字:小林覚(三左衛門)
制作:赤星明光 田中信也
宣伝:串間保彦
票券:そのださえ 菊地恵未
製作: (公財) 厚木市文化振興財団〈厚木公演〉/(有)扉座

WEB:https://tobiraza.co.jp

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