「あみやき亭」が攻勢に「焼肉きんぐ」との競争の行方は

川崎市内の店舗

コロナ禍からの回復に力強さを欠いていた焼き肉チェーン店のあみやき亭<2753>が攻勢に転じた。同社は4年ぶりに企業買収に踏み切り、焼肉やホルモン焼き、焼鳥事業を拡大する。

2023年3月期の業績は当初の予想よりも低いのの、売上高は29.6%増の279億6000万円に、営業損益は前年度の33億8200万円の赤字から3億5000万円の黒字に転換する見込みだ。

今回のM&Aは、この回復の流れを一段と強める効果が期待できる。どのような内容なのか。

横浜市エリアでの営業基盤を強化

あみやき亭は、焼肉やホルモン焼きのほか焼鳥専門店などを展開するニュールック(横浜市)を2023年4月に子会社化する。

ニュールックはホルモン焼きの行列店「野毛ホルモンセンター」などを、横浜市を中心に直営19店舗、FC(フランチャイズチェーン)9店舗を運営しており、2022年10月期の売上高は16億1000万円、営業利益は1500万円だった。

この数字があみやき亭の2024年3月期の業績に加わることになる。ニュールックの売上高はあみやき亭の5%ほど、営業利益は4%ほどのため大きなインパクトは期待できないが、愛知県と神奈川県にあるセントラルキッチンの稼働率向上などのコスト削減効果をはじめ、店舗数が少なかった横浜市エリアでの営業基盤の強化、さらには商品開発面での相乗効果などが見込める。

M&Aで業容を拡大

あみやき亭は焼肉業態である「あみやき亭」と焼鳥業態である「元祖やきとり家美濃路」、レストラン業態である「感動の肉と米」などを運営しており、セントラルキッチンで加工した食材を店舗に配送する体制で、中部、関東地区で255 店舗(2023 年2月末時点)を展開している。

これまでM&Aで業容を拡大しており、2009年に関東地区で焼肉業態とレストラン業態中心に展開しているスエヒロレストランシステムを子会社化したあと、2014年に都心部を中心にすしチェーン「すしまみれ」や焼き肉店「ブラックホール」などを運営しているアクトグループを、2019年に東京都内で「ホルモン青木」をはじめとしたホルモン専門店を展開する杉江商事を子会社化してきた。

同業の大手で、焼き肉チェーン店「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーション<3097>は、コロナ禍の中、順調に業績を伸ばしているのに加え、日系外食チェーン店を運営するインドネシアPT. Agrapana Niaga Gemilang(ジャカルタ)を2023年3月中に子会社化するなど、成長に向けた対策にも手を打っている。

焼き肉チェーン大手の両社の競争の行方は?

焼き肉大手「焼肉きんぐ」と「あみやき亭」鮮明になった業績回復力の差とは
「あみやき亭」のM&Aデータベース

文:M&A Online編集部

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