スペースX、補給ミッション「CRS-27」を実施 補給船にはSpaceBDのプロジェクト対象品が搭載

スペースXは現地時間3月14日、無人補給船「Cargo Dragon(カーゴドラゴン)」による国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送ミッション「CRS-27」の打ち上げに成功しました。

この補給船には日本の民間企業・Space BDの「スペースデリバリープロジェクト-RETURN to EARTH-」による対象品も搭載されており、無事ISSに到着しています。

【▲ ケネディー宇宙センターから打ち上げられるファルコン9ロケット。カーゴドラゴン補給船を搭載し、軌道へ(Credit: NASA/SpaceX)】

スペースXは米国東部夏時間2023年3月14日20時30分、米国フロリダ州のケネディー宇宙センター39A発射台からカーゴドラゴン補給船を搭載した「ファルコン9」ロケットを打ち上げました。打ち上げに使用された第1段ロケットは、ドローン船「A Shortfall of Gravitas」に着陸し、無事に地球へ帰還しています。この第1段機体はこれまでに2022年12月11日に実施された日本の民間月着陸機「HAKUTO-R」の打ち上げをはじめ、合計6回のミッションで使用されており、今回が7回目の飛行と着陸でした。

ドラゴン補給船は打ち上げから12分後にファルコン9第2段から分離し、米国東部夏時間2023年3月16日7時31分にISSの「ハーモニー」モジュールへ自動ドッキングすることに成功しました。ドッキングにあたっては、現在ISSに滞在中のウォーレン・ホーバーグ(Warren Hoburg)飛行士が状況の確認等を行いました。なお、カーゴドラゴンのドッキングは同日7時52分の予定でしたが、約20分早く行われたことになります。

【▲ ISSへドッキング中のカーゴドラゴン補給船 (Credit: NASA TV)】

今回のミッションはスペースXとアメリカ航空宇宙局(NASA)による「商業輸送サービス2(CRS-2)」契約の元で行われる7回目の補給ミッションです。今回使用されたドラゴン補給船は、これまでに「CRS-22」および「CRS-24」で使用されており、今回が3回目の飛行となりました。

NASAによると、今回のミッションでドラゴン宇宙船は2,852kgの荷物を輸送しました。そのうち40%以上を科学実験器具が占めており、微小重力環境下における心臓の細胞に関する研究、二酸化炭素除去技術に関する実験、バクテリアや胞子を宇宙環境下に晒す実験などに使用される器具が運搬されました。また、ISSに滞在しているクルーの生活用品や宇宙ステーションで使用されるハードウェアも搭載されています。

【▲ 補給船に搭載された荷物の内訳。全体の42%を科学実験器具が占めている(Credit: NASA)】

ドラゴン補給船は約30日間係留されたのち、回収される実験器具や装置が積み込まれた後にISSを離脱して、米国フロリダ沖へ着水する予定です。

なお、CRS-27ミッションでは、日本の民間宇宙企業であるSpaceBD株式会社が実施した「スペースデリバリープロジェクト-RETURN to EARTH-」第2弾のペイロードも搭載されていました。

このプロジェクトでは、国内外の研究機関や教育機関、民間企業などから預かった対象品をISSへ運搬し、日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームで約3か月間暴露させた後に回収して地球へ帰還させます。対象品は研究や教育、PRなどで利用されるということで、2022年6月には第2弾の公式アンバサダーとして、グローバルボーイズグループ「JO1」が就任すると発表されました。

今回打ち上げが行われた第2弾のミッションではJO1による対象品も含まれており、2023年度中に地球へ帰還する予定です。

関連記事:Space BDがグローバルボーイズグループJO1を宇宙利活用プロジェクトの公式アンバサダーに任命へ(2022年6月4日)

Source

  • Image Credit: NASA, SpaceX
  • SpaceX \- CRS-27 MISSION
  • NASA \- NASA’s SpaceX CRS-27 Mission Overview
  • NASA \- SpaceX Resupply Mission Docks to the Space Station
  • Space News \- SpaceX launches 27th cargo missions to ISS
  • Space BD \- Space BD「スペースデリバリープロジェクト-RETURN to EARTH- 」第二弾対象品のISSへの打上げが完了約3カ月の宇宙空間への曝露の後、2023年度中に地球へ帰還予定

文/出口隼詩

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